舞台「大地の子」の制作発表に登場した(左から)山西惇、上白石萌歌、井上芳雄、奈緒、益岡徹=東京都港区
 舞台「大地の子」の制作発表に登場した(左から)山西惇、上白石萌歌、井上芳雄、奈緒、益岡徹=東京都港区

 山崎豊子の小説を原作とする舞台「大地の子」の制作発表が東京都内で開かれ、井上芳雄ら主要キャストが登場した。戦時中に家族とはぐれ、中国人として育った主人公・陸一心を演じる井上は「過去を知ることは未来を知ること。大事なメッセージをしっかり伝えたい」と決意を語った。

 1995年にNHKで放送されたドラマ版で、一心役を務めた上川隆也の熱演に心を打たれ「毎週、泣きながら」見ていたという。「まさか自分が演じられるとは。奇跡のような巡り合わせ」と喜びをかみしめた。

 ドラマ版では、一心の実父・松本耕次を8日に死去した仲代達矢さんが演じた。今回の舞台では仲代さんが率いた「無名塾」出身の益岡徹が耕次を演じる。益岡は「ある種の高ぶりがある。(仲代さんに)見てもらいたかった」と無念をにじませた。

 一心と生き別れ、やはり中国で育った妹を演じるのは奈緒。今年、戦後80年を迎えたことに触れ「この『戦後』(という平和な時代)を続けなければ。皆さんと祈るような気持ちでこの舞台を共有したい」と話した。

 一心の養父となる中国人教師役の山西惇は「すごい作品になるんじゃないか」と興奮を抑えきれない様子。一心の妻を演じる上白石萌歌は「井上さんは私の姉(上白石萌音)とも共演していて、親戚のお兄さんみたいな存在」と信頼を寄せた。

 舞台は来年2、3月に東京・明治座で上演。