上野駅周辺
上野駅周辺

 JR上野駅(東京都台東区)の西に広がる上野公園には、東京ドーム約12個分の敷地に博物館や動物園、音楽ホールが点在する。モダニズム建築の美術館や、戦後の闇市の流れをくむアメ横商店街を巡り、多様な魅力に触れた。

 駅公園口から徒歩約10分で東京都美術館に着いた。今年は開館から100年。九州の石炭商、佐藤慶太郎が日本にも「いつでも美術に触れられる場を」と望み、建設資金を東京府(当時)に寄付し、生みの親となった。

 佐藤の功績を後世に伝える空間が中央棟1階のアートラウンジだ。れんが色の床に合わせたデンマークのデザイナーによるいすに座ると、居心地の良さに離れがたくなる。

 現在の建物は、日本のモダニズム建築の巨匠、前川国男が1975年に手がけた館を継承する。タイルが織りなす赤れんが調の建築は、「極小の都市空間」をつくっているという。

 駅方面へ戻り、国立西洋美術館を見学した。前川の師、ル・コルビュジエが設計した59年完成の建築は世界遺産となり、話題を集めた。前庭で展示するロダンの彫刻「考える人(拡大作)」との調和が見事に映った。

 南に向かい、アメ横へ。外国人観光客があふれるメインの通りには飲食店が並び、多国籍な雰囲気が増した。一方で高架下の商店街は車以外なら何でも買えるといわれる品ぞろえを誇る。

 その中の衣料品セレクトショップ「玉美」を訪ねた。3代目店主相羽岳男さんが「明るい色を身に着け、先行きも明るくね」とイチゴ柄シャツを薦めてくれた。相羽さんが気になるのは、上野動物園の双子のジャイアントパンダが中国へ返還された後の客足だ。街には惜別の雰囲気が漂う。

 お土産に「花神楽パンダ焼き 上野マルイ店」でパンダ焼きを買い、上野を後にした。

 【ちなミニ】東京都美術館の野外彫刻、井上武吉「my sky hole 85-2 光と影」は、ステンレス製の球体に建物が映り込む人気の撮影スポット。