1977年1月15日、「成人の日」を迎え、晴れ着姿で父親に抱かれている上村智子さん(桑原史成さん撮影)
 1977年1月15日、「成人の日」を迎え、晴れ着姿で父親に抱かれている上村智子さん(桑原史成さん撮影)

 指が湾曲したまま硬直した、漁師の手のモノクロ写真。「公害の原点」と言われる水俣病の残酷さを、ありありと伝えてきた。撮影したのは写真家の桑原史成さん(88)だ。水俣病を先駆的に報じ、60年以上現地に足を運び続けている。これまで使ったフィルムは約600本。今年5月1日、熊本県水俣市で開かれた犠牲者慰霊式にも、カメラを構える桑原さんの姿があった。