ロシアによるウクライナ侵攻からきょうで2年になる。民間人の犠牲者は増え続け、国連機関によるとウクライナ側の死者は1万人を超えた。ロシア、ウクライナ両軍の死傷者は合わせて50万人に上っているとの分析もある。
戦況はロシアに傾き始め、反転攻勢を抑え込まれたウクライナは守勢に回る。総司令官が解任されるなど、ゼレンスキー大統領と軍部の対立も表面化した。
今月になってロシアは、東部ドネツク州の要衝アブデーフカを完全制圧したと発表した。ウクライナ全土への空襲も激しくなるばかりだ。これ以上、不毛な流血を許してはならない。一刻も早く停戦を実現する必要がある。
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ロシア有利の戦局で停戦交渉のハードルは、ますます上がっている。
東・南部の4州をロシアに併合された現状はウクライナにとって到底受け入れがたい。しかしロシアの全面撤退はまず考えにくい。戦争犯罪の責任追及も欠かせない。どうすれば停戦や和平合意の道を描けるのだろうか。
和平への道描けるか
手詰まり感が漂う中、国際社会の足並みはそろわない。
最大の後ろ盾だった米国では、ウクライナ支援費を含む緊急予算案が共和党の反対で成立困難になっている。11月の米大統領選で同党候補として有力視されるトランプ前大統領が、支援停止を促していることが影響しているとみられる。
ウクライナ情勢を政争の具にし、前線の兵士を弾薬不足による危険にさらす対応は無責任極まりない。ただちに支援を再開するべきだ。
欧州連合(EU)にも不協和音が響く。親ロシアのハンガリーがウクライナへの支援に難色を示し、スウェーデンの北大西洋条約機構(NATO)加盟にもブレーキをかけた。EU内の意思統一ができないようでは、ロシアに対する経済制裁も実効性が担保できない。
戦争が長期化する中、各国に「支援疲れ」が広がっているのだろう。しかし、国際法を踏みにじった大国の侵攻がこのまま既成事実になれば、世界にさらなる火種を招きかねない。ロシアに対して圧力をかけ続ける必要がある。
国民の間に厭戦感も
注視すべきは強権政治を貫いてきたロシアのプーチン体制に、長引く戦争を受けてわずかながらほころびが見え始めた点だ。
今年3月の大統領選では、プーチン氏の通算5選が確実視されている。それにもかかわらず、「反戦候補」の立候補を求める10万人超の署名が集まった。中央選挙管理委員会は「無効署名が多い」として立候補を認めなかったが、国民の間に厭戦(えんせん)ムードが広がっている表れといえる。
侵攻2年を前に国際社会に衝撃を与えたのが、反政府活動家アレクセイ・ナワリヌイ氏の獄死だ。強権批判の象徴的存在だった。ロシア側は突然死症候群と説明するが、支援者らは当局に殺害されたとみている。
ロシアではこれまでも政権に批判的な政治家や軍人、記者らが不審死したり殺害されたりした経緯がある。ナワリヌイ氏の死後、市民の間に追悼の動きが出たが、政権は力で抑え込もうとしている。
国内のみならず、国外にも批判は高まっている。民主主義を重んじる国々が連携を強めて、真相究明を訴え続けるべきだ。ロシア国内で自由を求める人たちの支援にも結び付くだろう。
平和憲法を持ち、ウクライナに直接的な軍事支援ができない日本には、「日本ならでは」の支援が期待されている。
政府は今月、ウクライナ高官を招いた経済復興推進会議を開いた。158億円の無償資金協力を決めたほか、地雷対策やがれき処理、生活再建、農業の発展、バイオなど革新的製造業、デジタルや交通インフラなどの協力文書を交わした。首都キーウ(キエフ)への渡航制限の緩和も打ち出した。
大災害と戦後復興で得た復旧復興の知見や民間の技術集積は、ウクライナ社会の再建に生かせる。
日本とEUが安全保障面で連携を強める動きも出ている。ウクライナ情勢に加え、東・南シナ海への海洋進出を進める中国への警戒感ゆえだ。歩調を合わせて中国に対抗すれば、関係の深いロシアに対しても一定の圧力となりうる。
米国に追従するだけでなく、官民のさまざまなチャンネルを駆使して、混乱する状況を打開したい。
























