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 高市早苗首相と野党党首による今国会初の党首討論が開かれた。2月の衆院選以降では初めて、首相にとっては半年ぶり2度目となる。

 論戦に臨んだ野党党首は国民民主党の玉木雄一郎代表ら6人で、党首討論が始まった2000年以降で最多となった。中東情勢の混乱が国民生活を直撃し、経済政策や外交・安全保障など重要課題が山積するにもかかわらず、全体の討論時間は通例の計45分のままで、最も長い玉木氏でも12分にとどまった。

 これでは踏み込んだ政策議論は望むべくもなく、消化不良に終わった。国民の不安や疑問の解消には程遠く、多党化時代を踏まえた形に抜本的に改革しなければならない。

 最大の論点となったのが、イラン情勢の緊迫化を踏まえた26年度補正予算案の編成である。

 首相は最近まで補正予算案に慎重な姿勢を見せていたが、事態の長期化を受けガソリンや電気・ガスの補助金の財源が底をつく恐れがあり、党首討論の直前に編成を指示したと明らかにしていた。

 本予算成立から約1カ月半での補正予算の編成は異例だ。討論では、玉木氏が3兆円規模の必要性を訴えたが、首相は内容や規模を「申し上げる段階にない」と述べるにとどめた。中道改革連合の小川淳也代表は編成の遅れを批判したが、首相は「割と早くからベストな対応を考えていた」と取り合わなかった。

 玉木氏と小川氏は補正の財源についてもただした。首相は25年度予算の決算剰余金を例に挙げ「財源の確保は大丈夫」と述べ、新規国債の発行を抑制するとした。財政悪化の懸念から長期金利が上昇しており、市場の不安をこれ以上広げないためにも当然の対応である。

 石油化学製品の原料となるナフサについて、首相は「足りているはずのナフサが届いていない。目詰まりが起きている」とし、対応に万全を期すと述べた。ただ目詰まりの具体的な説明はなく、深刻な供給不足に悩む企業の不安は払拭できまい。

 首相は2年間限定の消費税ゼロ法案を国会に提出すると明言した。代替財源の確保を急がねばならない。 日中関係などの外交・安全保障や人工知能(AI)の議論も、短時間で深まりようがなかった。

 党首討論の本来の趣旨は、国の将来像などを腰を据えて議論することだ。政党数が増えたのに現状の1時間弱では機能しない。

 与野党は予算成立後の月1回開催で合意しているが、党首の資質や将来性などを国民が見極められるよう、時間延長や開催頻度の増加、適切なテーマ設定など、早急に見直すべきだ。