交流サイト(SNS)を通じ犯罪ごとに離合集散を繰り返す「匿名・流動型犯罪グループ(匿流(とくりゅう))」による被害が深刻化している。
匿流の関与が指摘される特殊詐欺やSNSを通じた投資・ロマンス詐欺の被害総額は昨年、過去最悪の3241億円に達したが、中核的人物の摘発は進まない。今月14日には栃木県上三川町(かみのかわまち)の住宅で家族3人が殺傷される強盗殺人事件が発生し、政府は「治安対策上の最重要課題」として対策強化に乗り出した。
官民の知恵を結集し、匿流を撲滅せねばならない。
許しがたいのは高報酬のアルバイトをうたって若者を重大な犯罪に巻き込むことだ。警察庁によると、匿流関連とみられる強盗事件で昨年に摘発された304人のうち、20歳未満は4割近い116人に上る。個人情報を握られ、「家族に危害が及ぶ」などと脅される事例が目立つ。
一方、首謀者らは秘匿性の高いアプリで指示し、実行役が逮捕されても自身には捜査が及びにくい。まさに若者の使い捨てだ。
栃木の事件では、実行役とされる16歳の男子高校生4人と、指示役とみられる夫婦らが逮捕された。栃木県警はさらに主導役とされる男の逮捕状を取ったが、中国経由で東南アジアへ逃亡した可能性がある。警察は関係各国と連携し、犯行グループの全容解明を急いでほしい。
逮捕された高校生は同学年で、うち2人は同じ高校に在籍する。亡くなった女性は数十カ所に刺し傷などがあり、手口は凶悪極まりない。社会的経験の少ない若者は命令に服従しやすく、判断力を失いがちだ。未熟さにつけこまれた面もあろう。
強盗殺人罪の法定刑は無期拘禁か死刑である。このような凶悪犯罪に前途ある若者を加担させることは絶対にあってはならない。
再発防止に向け、警察と行政が協力して若者らを守る体制を整える必要がある。闇バイトなどへの応募者が犯罪に巻き込まれかけた際、警察や身近な人に相談する勇気を持つことも大切だ。
匿流捜査の強化に向け、警察庁は昨秋に「匿流情報分析室」を新設した。警視庁も「対策本部」を組織し、全国から集めた捜査員による専従捜査チームを結成した。匿流は犯行計画に人工知能(AI)を悪用しているとされる。捜査側もAIなどの技術力を高める必要がある。
地域の警察活動の見直しも不可欠だ。栃木の事件では被害者宅周辺で不審な車が複数回目撃され、県警も警戒していたが、犯行を防げなかった。警備体制などに不備がなかったかを徹底検証し、全国の警察の防犯対策に生かしてもらいたい。























