宇宙航空研究開発機構(JAXA)が、大型ロケット「H3」の打ち上げに成功した。
民間ロケット「カイロス」は3回続いて打ち上げに失敗し、昨年末にはH3も失敗した。JAXAの小型ロケット「イプシロンS」は開発が遅れ、日本は自前で衛星を宇宙に運べなくなっていた。H3は自国の衛星を望んだタイミングで打ち上げるための「基幹ロケット」と位置付けられており、宇宙開発が窮地に陥りかねない状況は脱したことになる。
前回の失敗は、衛星を載せる台座の接着不良が原因だった。樹脂などで補修し、半年という異例の早さで打ち上げ再開にこぎ着けた。しかしこれでは根本的な解決と言えず、台座の開発も急がねばならない。
今秋には国際協力による火星探査計画「MMX」の探査機打ち上げが迫るほか、位置情報サービス衛星の打ち上げも予定されており、着実に準備を進めてもらいたい。
今回成功したのは、政府が扱う衛星などの利用を想定し低価格で生産できるタイプで、先代「H2A」に比べコストを半分程度に圧縮することを目指している。コストが中程度の「標準型」、コストは高いが大型機材も運べる「パワフル型」も打ち上げており、需要に合わせた3種類がそろうことで商業利用の可能性が広がる。これも日本の宇宙開発にとって大きなメリットと言える。
内閣府の調べでは、2025年に打ち上げられた衛星や探査機が約4500機と過去10年で20倍に増えた。先進国だけでなく、新興国や途上国でも宇宙開発が活発になったためだ。それに伴って、ロケット打ち上げの需要も増えている。
25年に世界で成功した打ち上げは316回を数える。ただその過半数は、イーロン・マスク氏率いる米企業「スペースX」が手がける。機体の再使用技術を確立して低コストを実現し、顧客を増やして打ち上げの頻度も高まることでさらにコストを抑えることを可能にした。
一方、日本は25年の打ち上げ実績が3回のみで、回数の増加を目指すが、それでも年6~8回程度という。機体の再使用技術もまだ研究段階にとどまっており、どこまでコストを下げられるかは見通せない。
ただ人気の高さの裏返しで、スペースXは予約が取るのが難しい状況とされている。日本のロケットはここに商機を見いだしてほしい。
先代H2Aの打ち上げ成功率は98%と世界最高水準を誇った。日本の技術の高さを示す。H3は今回も含めてまだ成功率は75%にとどまるが、H2Aの知見を生かし、実績を積み重ねて世界市場で信頼を獲得する必要がある。
























