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 サイバー攻撃を受けた企業の大規模なシステム障害が、またしても発生した。高性能の人工知能(AI)の登場で、被害を受けるリスクは一層高まっている。全ての企業は防御力の強化を急ぐ必要がある。

 冷凍食品の大手メーカー、ニチレイで起きた不正アクセスによるシステム障害は、広範囲に影響を及ぼしている。個人情報漏えいの可能性もあるが、詳細は公表していない。

 ニチレイは冷凍の加工食品の製造に加え、他社の食品を低温管理してスーパーや飲食店などに届ける低温物流を手がける。全国75カ所に冷蔵倉庫を持ち、関連の取引先は約5千社に上る。食品物流の重要インフラが狙われた形だ。

 日本ケンタッキー・フライド・チキンは主力の食材が入らず、一時、営業時間短縮などの対応を迫られた。イオンやコープこうべでは商品が欠品し、総菜大手のロック・フィールドは原材料の入荷遅れのため代替品を使った。仙台市や秋田市は学校給食の献立を急きょ変更した。

 ニチレイは17日、冷蔵倉庫などを部分稼働させたと発表したが、出荷や納品がいつ正常化するかはまだ見通せない。一刻も早い復旧に加え、取引先への影響を極力抑える対策を再構築してほしい。

 今回のシステム障害では、海外のハッカー集団がインターネット上に犯行声明を出した。身代金要求型コンピューターウイルス「ランサムウエア」を使ったようだ。企業のサーバーに侵入し、顧客情報などのデータを使えない状態にして、復元と引き換えに金銭を求める卑劣な手口で、世界で被害が相次ぐ。

 2025年には、大手ビールメーカーのアサヒビールホールディングスと通販大手のアスクルが、ランサムウエアの攻撃を受けた。アサヒビールでは多くの工場が一時生産停止に追い込まれた。アスクルはシステム障害が響き、26年5月期連結決算の純損益が赤字に転落した。

 企業活動と顧客を守るために、サイバー攻撃を想定した平時の備えが欠かせない。ソフトウエアの更新やデータのバックアップといった基本的な対策を徹底できているだろうか。事業継続計画(BCP)の策定や復旧の訓練も重要になる。

 警察庁によると、25年のランサムウエアの被害は226件で、約6割は中小企業だった。1週間未満でシステムが復旧したのは2割台にとどまり、被害が長期化している。

 専門人材を確保する余裕のない企業もあるだろう。取引先や業界団体などで情報を共有し、対策を進めることも検討してほしい。サイバー攻撃を決して人ごととは捉えないことが、防御の第一歩となる。