トランプ米政権に対する事実上の審判となる中間選挙が、11月3日に実施される。各党の候補者を絞り込む予備選は終盤を迎え、対決の構図が固まってきた。結果は2028年の大統領選の行方を左右する。
連邦議会は上下院とも与党共和党が多数を占めるが、野党民主党との差はいずれもわずかだ。中間選挙は政権与党に厳しい結果となるケースが多い。加えて、最近の大統領支持率は3割台と極めて低い。焦りを募らせるトランプ氏は過激な言動で党派対立をあおっている。社会の分断が深刻化しかねない状況で、深く憂慮する。
主要争点の一つはインフレ対策である。米国とイスラエルによるイラン攻撃に端を発した中東情勢の混迷は、米国内の物価高に拍車をかけ、世界経済を混乱させている。
家計負担の増大にあえぐ国民が求めているのは「アフォーダビリティー(手の届く暮らし)」の実現だ。現政権は大型減税などで個人消費を支えるが、中東の混乱が収束しない限り、有権者が暮らし向きの改善を実感するのは難しい。共和党の苦戦が予想される。
一方、巻き返しを図る民主党は路線対立を抱え、一枚岩になっていない。経済格差への憤りから、富裕層への課税強化や労働者保護などを主張する急進左派が台頭し、予備選で穏健派を破る候補も出てきた。伝統的にイスラエル寄りの穏健派に対して、若者を中心に反発が高まっていることも要因とされる。
トランプ氏を信奉する共和党右派の「MAGA(米国を再び偉大に)」と民主党支持の急進左派は、掲げる政策は異なるものの、保護主義的な点では共通する。両党が主張を先鋭化させれば、穏健な主流派は背を向けるだろう。党派対立を嫌って無党派層がかつてなく増えているとの調査結果もある。国内融和の観点からも、理性的かつ建設的な議論に努めてほしい。
ここへきて、トランプ氏が危険な「外交ショー」に打って出るとの見方が強まっている。北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党総書記との対面会談に意欲を示し、あろうことか、北朝鮮の核保有を容認するかのような発言をした。朝鮮半島有事を想定した米韓の定例軍事演習も、唐突に予定を短縮して終わらせた。アジア地域の安定を脅かしかねない「賭け」と言え、断じて容認できない。
不人気なイラン攻撃から、米国民の目をそらす狙いがうかがえる。しかし、確固とした戦略を欠き、大統領の直感に頼る対外政策が米国の国益を損なっている現状を直視するべきだ。中間選挙では外交についても議論が深まることを期待する。
























