高市早苗首相は内閣改造と自民党役員人事を実施した。木原稔官房長官や茂木敏充外相、片山さつき財務相、小泉進次郎防衛相ら主要閣僚を続投させ、政権の骨格を維持した。兵庫関係では文部科学相に関芳弘氏(兵庫3区)、総務相として藤井比早之氏(同4区)が初入閣した。
党役員も麻生太郎副総裁と鈴木俊一幹事長、小林鷹之政調会長を留任させた。党内基盤の弱い首相が来年秋の総裁選を見据え、再選の地固めを狙った布陣なのは明らかだ。一方で「ポスト高市」候補の一人、林芳正総務相は閣外に出た。衆院の国対委員長に閣僚未経験の村井英樹氏を充て、少数与党の参院で野党とのパイプを握る石井準一幹事長を交代させた。首相主導の国会運営をもくろむ人事が火種になる恐れもある。
首相は、連立を組む日本維新の会の中司宏前幹事長を規制改革担当相に起用した。維新は昨年10月の高市政権発足時、首相の入閣要請を固辞した。先の特別国会で副首都構想関連法を成立させたことなどを踏まえ、閣内協力に転じた。政権のタカ派色が一層強まる可能性がある。
農相に就く簗(やな)和生氏は関文科相とともに、派閥裏金事件で党の処分を受けた議員で初の入閣となる。首相は就任以来「人事に影響しない」との認識を示すが、政治とカネの問題に対する姿勢が改めて問われる。
首相が政権基盤を固める一方で、国民が政治に求めるものとのずれは広がっている。原油価格の高騰や円安を背景にした物価高は止まらず、暮らしを圧迫し続けている。いまだ収束しない中東情勢が国内外の経済に与える影響も見通せない。
衆院選での自民大勝後、首相が重点的に取り組んできたのが、改正皇室典範や国家情報局設置法、国旗損壊罪の創設など国民生活に直結しない一連の法整備だ。いずれも「国論を二分する政策」だが、疑問や批判に真摯(しんし)に向き合うことなく成立を急いだ。国会での熟議を軽んじ、幅広い合意形成を図ろうとしない政治手法に強い危惧を抱かざるを得ない。
10月召集の臨時国会では、与野党が対立する消費税減税関連法案や衆院議員の定数削減法案などの審議が控える。年末の閣議決定を目指す安全保障関連3文書改定では、防衛費大幅増や非核三原則の見直しなど国の根幹に関わる重要課題が焦点だ。
経済対策や社会保障改革など喫緊の課題に本気で取り組まなければ、国民の期待は薄れる。首相の意向に従うだけの内閣や与党では針路の選択を誤りかねない。野党各党は連携して政権をたださねばならない。
首相は「数の力」におごることなく、多様な声に耳を傾け、謙虚な政権運営を心がけるべきだ。























