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 世界的な人工知能(AI)や半導体関連の需要増が、日本の大手製造業の景況感を押し上げている状況が確認された。

 日銀が3カ月ごとに発表する企業短期経済観測調査(短観)の9月分は、大企業製造業の景況感を示す業況判断指数(DI)が6月の前回調査から2ポイント上昇し、6期連続で改善した。AIブームに加え、コストの価格転嫁が進んだ点も寄与した。

 一方、大企業非製造業のDIは2ポイント下落し、5期ぶりに悪化した。小売りが4ポイント、宿泊・飲食サービスが8ポイントそれぞれ下がった。地震などの自然災害や天候不良の影響で消費が振るわなかったのが要因とされる。

 兵庫県内の9月短観は、製造業のDIが1ポイント下落し、非製造業は2ポイント上昇と、全国とは異なる結果だった。全産業では1ポイント上昇し、2期ぶりに改善した。日銀神戸支店は「中東情勢による下押しがある中でも、前向きな経済の循環が確認できた」と分析している。今後の価格転嫁の進展具合が注目される。

 企業にとって価格転嫁は収益改善への一歩となる。一方、家計にとっては逆風だ。消費者の節約志向は強まっている。さらに値上げの動きが広がれば、内需を支える個人消費を冷え込ませる恐れがある。

 重要なのは、企業の収益改善を持続的な賃上げや自社の競争力向上につなげることだ。製造業に恩恵をもたらしているAIは進化が速く、特需がいつまで続くかは見通せない。関連需要に偏重するリスクにも注意が必要だろう。

 9月に政策金利が引き上げられ、企業活動へのマイナスの影響が懸念される。短観では企業の資金繰りや金融機関の貸し出し態度を示す指標に大きな変化はなく、「利上げは適切だった」と評価する市場関係者は多い。

 しかし、中小零細企業では物価高や金利上昇による融資返済の負担増で資金繰りが厳しくなっているケースは珍しくない。秋以降も、原油価格の再高騰や過度な円安といったリスク要因は残る。

 物価安定に向け、日銀は企業動向や地域経済に注意を払い機動的な対応に努めてほしい。政府には市場の懸念を招かない規律ある財政運営が求められる。