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西日本豪雨

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土砂で埋まった山陽塩屋-須磨浦公園間の線路。奥は立ち往生した山陽電鉄の特急電車=6日午後、神戸市垂水区塩屋町1
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土砂で埋まった山陽塩屋-須磨浦公園間の線路。奥は立ち往生した山陽電鉄の特急電車=6日午後、神戸市垂水区塩屋町1

 西日本豪雨による土砂崩れがあり、神戸市垂水区で立ち往生した山陽電鉄の特急電車。徐行中、線路に土砂がかぶっているのを発見して緊急停止した直後、さらに土砂崩れなどが前後2カ所で相次いだ。走行中ならば脱線などの惨事にもなりかねない状況に、山陽電鉄の担当者は「徐行運転が最善だったとは言い切れない」と、雨量規制を厳格化する再発防止策を導入。専門家からは沿線斜面への防災対策を求める声が上がる。

■斜面崩壊、泥水も

 6日午後2時7分、乗客約80人を乗せた山陽姫路発阪神梅田行きの特急電車(6両編成)は時速25キロ以下に落とし、山陽垂水駅を出発した。東須磨の雨量計が降り始めから300ミリを超え、同社の徐行規制値に達していた。雨量規制による徐行は2015年の台風11号以来。運転席には安全確認のため、ベテランの50代保線員が同乗した。

 土砂降りに近く、見通しがきかない。同18分、山陽塩屋-須磨浦公園間で、30代の男性運転士が上下線の線路に土砂がかぶっているのに気付いた。運転士は非常ブレーキをかけ、運転指令室へ現状を報告。保線員はスコップで土砂を取り除き始め、運転指令は対向の西行き電車を止めた。

 だがその直後、約100メートル前方の斜面が崩壊。今度は線路を完全に覆い、立ち木も滑り落ちた。後方では泥水の流入も発生した。

 緊急停止から約35分後、運転士らは駆け付けた協力会社の社員らと乗客を最後部から1人ずつ誘導し、西側の踏切から国道2号へ避難させた。乗客に混乱はなく、けが人もなかった。

■「徐行で対応可能」

 同社が開業以来初めて直面した運行中の土砂崩れ。一連の対応に、同社は「駅間の停車を想定した訓練や、各部署と協力会社との日ごろからの連携が生きた」とする。8日昼ごろ、同社が復旧工事完了を発表すると、ツイッターの投稿は780件以上転載され、励ましや感謝を伝える声も約50件寄せられた。

 土砂崩れ発生当時、兵庫県内の鉄道網で東行きの路線を運行していたのは同社と阪神電鉄、山陽新幹線のみ。各社で運休などが相次ぐ中、同社は比較的長く通常運転を続けた。同社はこの判断について「安全第一を考慮しながら、鉄道会社としての使命を果たすための判断だった」と胸を張る。

 ただ、危機と背中合わせだった徐行運転は「これまでの経験から、何かあっても徐行と目視で対応できる範囲と判断していた」と説明。一方で、再発防止に向けた暫定的な対策として、運休を判断する規制値を累積雨量300ミリ以上から250ミリ以上に引き下げた。

■危険性認識に課題

 土砂崩れの現場は、斜面が線路脇にまで迫り、線路上も含めて土砂災害警戒区域内だった。また、土砂災害警戒情報だけでなく、避難勧告も5日午前から発令されていた。

 斜面防災に詳しい神戸市立工業高等専門学校の鳥居宣之教授は「沿線の環境に精通する鉄道会社は経験上、土砂災害警戒区域の危険性が高いという認識はあったはず」と指摘。「鉄道の公共性を考えると、従来の雨量規制だけではない総合的なルールづくりを進めることが重要」とする。

 同社は2015年度から、社有地ののり面の防護工事を進め、この春完了したばかりだった。だが、今回の現場はいずれも民有地で未整備だった。関西大の安部誠治教授(交通政策論)も「鉄道各社の施設は従来の雨を想定したもので、近年の大雨に耐えられるのか疑問が残る。地権者との問題を乗り越え、のり面を増強するのが急務」と訴える。同社は今後、管理地以外ののり面についても防災対策を検討する方針という。(竹本拓也)

2018/7/23
 

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