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西日本豪雨

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明治時代に下原地区であった水害を記した新聞記事を手に、住民の避難活動を振り返る川田一馬さん=岡山県総社市下原
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明治時代に下原地区であった水害を記した新聞記事を手に、住民の避難活動を振り返る川田一馬さん=岡山県総社市下原

 西日本豪雨の被災地で、住民が防災活動に取り組む「自主防災組織」(自主防)が再評価されている。阪神・淡路大震災を機に普及が進み、組織率は全国で8割超、兵庫県内では9割超に及ぶものの、住民の参加意識の低さから形骸化も課題に挙げられる。西日本豪雨では、岡山県総社市下原地区の自主防が要支援者を含めた全戸避難を誘導し、犠牲者が出なかった。専門家は「地域の防災力向上に不可欠」と、改めて重要性を訴えている。(金 旻革)

 自主防は災害対策基本法に基づく任意の組織。自治会などが市町村に申請し、地域で防災訓練や防災意識の普及・啓発を行う。防災白書などによると、全国の組織率は81・7%(2016年)、兵庫県は97・3%(17年)に達する。

 一方で、活動への住民参加の少なさが問題視されている。総務省消防庁が16年に実施した調査では、全国522の自主防の23・6%が「防災活動への参加者が少ない」と回答。住民の防災意識の低さを原因に挙げる声が多かった。

 そんな中でも、西日本豪雨で被災した岡山県総社市下原地区では、自主防が住民避難に活躍したとの声が上がっている。

 同地区は甚大な浸水被害が出た倉敷市真備(まび)町地区に隣接し、約110戸に350人余りが暮らす。6日午後11時半ごろ、近くのアルミ工場で爆発が起き、爆風で民家の窓ガラスが割れるなどして数十人が負傷。水害による床上浸水も相まって集落の全戸で被害が出た。

 「2回目の爆発が起きるかもしれない」。下原自主防災組織副本部長の川田一馬さん(69)は脳裏に不安がよぎり、当時集落にいた約300人全員に避難の呼び掛けを開始。自主防で毎年更新する世帯台帳から作成した安否確認表を手に、役員らは未確認者がゼロになるまで各戸を回った。翌7日午前4時ごろには全員の避難を確認できた。

 東日本大震災後に自主防を結成し、住民が一体となって毎年避難訓練を重ね、2年前からは夜間訓練も取り入れた。「過去に被害を受けた集落で危機意識は高かった」と川田さん。明治期に付近の川が決壊した際、集落で死者が約30人に上ったが、今回は犠牲者が出ず「自主防も貢献できたと思う」と振り返る。

 東京大総合防災情報研究センターの宇田川真之特任助教(防災情報)は「身近な災害の危険をいち早く察知できるのは住民。住民主体の防災組織が欠かせないとの認識を地域で共有することが大切だ」と話している。

2018/8/1
 

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