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西日本豪雨

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薗小学校に開設された「まなびのひろば」で遊ぶ児童=岡山県倉敷市真備町市場
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薗小学校に開設された「まなびのひろば」で遊ぶ児童=岡山県倉敷市真備町市場

 「食欲がない」「2学期から元通り通学できるのか」-。西日本豪雨から間もなく1カ月。被災地では復旧の動きが加速するが、一方で子どもたちは生活の激変によるストレスを抱え、居場所づくりや精神面のケアが課題となっている。周囲を気遣って悩みや本音を打ち明けず我慢する傾向もあるといい、学校に集える場所を設けたり、聞き取りをしたりする支援が始まっている。

 岡山県倉敷市の薗(その)小学校では7月23日から、小中学生を対象に「まなびのひろば」が開設された。同市教育委員会が設置し、運営は地元の塾など3団体でつくる「岡山次世代スクール協会」が担う。勉強スペースの図書室に加え、遊びや話ができる「わくわくルーム」もある。協会スタッフや学生ボランティアが学習指導や遊び相手を務め、毎日20人超が訪れるという。

 室内には、カードゲームなどに興じる子どもたちの笑い声が響く。同小5年の児童(10)は「家は無事だったけど、庭先まで水が来て怖かった。家が漬かった友達も、今まで通り一緒に勉強できるようになってほしい」。高山和成事務局長(28)は「避難所では思い切り笑って、話をするのは難しい。この場所があることで、少しでも不安が軽くなれば」と話す。

 同校では、兵庫県の教職員らによる震災・学校支援チーム「EARTH(アース)」も活動。地元の教職員が避難所運営を担当していた状況を改善し、学校再開など本来の業務に専念できるよう支援している。

 西隣の岡山県矢掛町にある矢掛高校では、真備町から通学する生徒らが被災。地域交流などに取り組む「やかげ小中高こども連合(YKG60)」の井辻美緒共同代表(40)が、個別に現状の聞き取りを進める。

 対象は約70人。「困りごとはない」と生徒たちは答えるが、次第に悩みを打ち明ける。「やる気スイッチが壊れた」「食欲がなくやせた」「避難先の親戚宅で気兼ねし、外でランニングして時間をつぶしている」…。

 家の片付けや交通網の寸断で通学や部活が困難となり、思いを発散する場所もない。井辻さんは「周囲に配慮して本音を言うのを我慢している。定期的に聞き取りを続けて課題を拾い上げ、必要な支援につなげたい」と力を込めた。(太中麻美)

2018/8/4
 

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