エッセー・評論

猫の毛まみれのキーボード

  • 印刷
「きれい、いっぱーい」(撮影・大森 武)

「きれい、いっぱーい」(撮影・大森 武)

 今年の3月末に男の子が生まれた。「生まれた」と書いたが、それまでの私は、出産のことを、自分が「産む」行為だと思っていた。なので、世の母親たちが、「○月○日に子どもが生まれました」とSNS(会員制交流サイト)などで報告しているのを目にしては、痛い思いをして産んだのは彼女たち自身なのに、「生まれた」とまるで自分から切り離した出来事のように言うことができるなんて、みんな大人だなあと漠然と感心していた。

 けれど、いざ経験してみると、それはまさに「生まれた」だった。妊娠中もさまざまな不調や不快感に向き合ったし、無痛分娩(ぶんべん)とはいえ、19時間かかった分娩は、医師が言うところの“難産”だった。しんどかったのは、大変だったのは、私だった。それでも自分の中から出てきた子どもは、「子」というより「個」と呼びたくなるような、すでに独立した人間で、こんなにしっかりとした存在が私の中にいたのだという事実が信じられなかった。

2019/5/11

天気(1月24日)

  • 11℃
  • ---℃
  • 70%

  • 8℃
  • ---℃
  • 80%

  • 10℃
  • ---℃
  • 60%

  • 10℃
  • ---℃
  • 70%

お知らせ