エッセー・評論

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雪国の各駅停車(撮影・小林良多)

雪国の各駅停車(撮影・小林良多)

 これを書いている2日前に雪が降り、10センチほど積もった。大雪が降る街に長く住んだことがないせいかもしれないが、私は雪が好きだ。雪が降っていると、ついつい空を長い間眺めてしまう。なぜだかわからないが、雪がちらつく灰色の空を見ていると、心が落ち着くのだ。今も心に残っているのは、高校生の頃、2年間を過ごしたコロラドの雪景色だ。コロラドは冬になると真っ白になる(ただ気温としては暖かい日もあり、Tシャツで校舎を移動している子たちがざらにいて、不思議な光景だった)。今でも雪が降ると、その頃、寮の窓から雪を眺めながら聴いていた、Lisa Loeb & Nine Storiesの「Snow Day」という歌を必ず一度は再生するのが私の決まりになっている。そして私は、雪の降る場面のある映画が好きだ。

 イム・デヒョン監督の韓国映画「ユンヒへ」は、レズビアンのシングルマザー、ユンヒが主人公の作品だ。彼女は娘と一緒に北海道の小樽に旅行をするのだが、実はその街は、20年前に別れ別れになったジュンが住んでいる場所だった。ユンヒは土産物のお店でイヤリングを買い、一人お酒を飲む。このバーの店員との、韓国語と日本語の言葉の壁を超えたやりとりは胸を打つ。ユンヒがいる街で、ジュンはいつものように職場に通う。

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2022/2/5
 

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