大切な人との別れを連載してきた私たちの元に、読者から手紙やメールが寄せられています。死別経験や亡き人への思いをつづった文章の一部を紹介します。
神戸市兵庫区の50代女性からは便せん3枚につづられた手紙が届きました。舌がんで闘病していた48歳の夫と、11年前に死別したといいます。
夫を亡くしたとき、女性は43歳で、高校3年から小学6年まで、3人の男の子がいました。「病院との壮絶なやりとり、夫の最期。いい事も悪い事もすべて経験し、その時は本当に『先に死んだ方がラクだ』と思いました」
今回の連載の初回で、男性が白血病で入院する妻を見舞うと「早く帰って」と言われた、という記述を読み、「私も主人にまったく同じ事を言われました」。
当時、夫の入院先まで往復3時間かけて通っていたといい、「何ですぐに帰らなあかんの!という思いがあったのですが、今考えると、主人も体がしんどいのもあったのでしょうが、一人になりたかったのですかね」と振り返ります。今は子どもたちも成人し、「これからの人生を大いに楽しむつもりです」と書かれていました。
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「私の妻も2年前に旅立ちました。今思うと、また目に涙がにじみます」とは、三木市の70代男性です。
妻はがんを患い、手術をするも、医師から「取り切れなかった」と言われたそうです。「妻はベッドの中で涙を流し、私も悔し泣きしました」
亡き妻には「最期までよく頑張ったと思う」と心を寄せ、毎日、仏壇にご飯とお茶を供え「45年間ありがとう」と伝えているそうです。男性の手紙は「残りの人生をどう生きるか悩んでいます」と締められていました。
高校2年だった長女が自死をしたという女性からはメールが届きました。
「胸の中をえぐり取られる感覚で生きてきた」。そんな中、長女の同級生が自宅にやって来て、たわいない会話をしてくれ、「温かい心を持った子どもたちに支えられて生きてこられた」とつづられていました。成人式にも50人ほどが集まってくれたそうです。
長女との別れから、この春で12年。「愛する家族が亡くなる悲しさは人生の最大の悲しみ」とし、「何年かかろうが、その苦しみが抜けることはなく生きていくのだと思う」と記されていました。
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連載に対して「自分に重なる」との感想が届く一方、死を扱う内容がショック-との声もありました。「生と死」やグリーフ(悲嘆)ケアについて、いつから考えるべきか、などの問題提起もありました。今後も、皆さんとともに考えながらシリーズを進めていきたいと思います。
次回は、グリーフケアの専門家の言葉を掲載します。
2020/2/21【募集】ご意見、ご感想をお寄せください2020/2/2
【読者からの手紙】永遠の別れ、涙拭いて2020/3/5
(21)「心に生き続ける」とは2020/2/23
(20)思い続け一緒に生きる2020/2/22
(19)【読者の声】残りの人生どう生きるか2020/2/21
(18)爪のかけら、大切な宝物2020/2/20
(17)笑顔に何度も救われた2020/2/19
(16)暖かな場所に、きっといる2020/2/18
(15)小さな骨つぼと過ごす日々2020/2/17
(14)忘れられない「ママ、怖い」2020/2/16
(13)父が誰かの生活潤わせる2020/2/15
(12)やる気が出なくなった2020/2/14