コトバのチカラ
ともにプロ入りした東洋大3本柱の一角を担った東洋大姫路高出身の甲斐野央投手。187センチの長身から繰り出す直球は最速158キロを誇り、大学日本代表ではクローザーを任された。2年連続日本一のソフトバンクから1位指名を受けた逸材も高校時代は内野手兼投手。2年夏の兵庫大会準優勝が最高で甲子園の舞台に立つことはなかった。大学で潜在能力が一気に花開いた豪腕は、球界屈指のチームでさらに己を磨く。(聞き手・宮崎真彦)
-出身の西脇市から東洋大姫路高に進学。
「東洋大姫路出身の兄から『甲子園に行くなら東洋大姫路』と小さい頃から言われていたのもあるが、練習会に参加した時、藤田(明彦)監督から『来てもずっとボール拾いやぞ』と言われて逆に燃えた。ここで絶対レギュラーを取ったると決心した」
▼あこがれ
-高校大学の3学年上の先輩、原樹理(現ヤクルト)の存在も大きかった。
「金縁の『TOYO』のユニホームを着て甲子園で投げてる姿がめちゃかっこよかった。(2011年夏)引き分け再試合になった兵庫大会決勝の東洋大姫路-加古川北戦は中学校の体育祭の練習中だった。どうしても試合が見たかったので野球部の監督と途中で抜けてテレビ観戦したくらい。原さんと同じユニホームを着たかった」
-高校では背番号1を背負うことはなかった。
「3年の時は背番号5の三塁手。先発して最終回まで投げきることもあったが、三塁手をしつつ投手というのが自分の役割。本職は野手だった。ただ、監督は面白い投手になると見てくれていた。(投手として)今の自分があるのは監督、コーチが将来性を見込んで投手をさせてくれたからこそ。本当に感謝している」
-甲子園には届かなかった。
「2年生の夏は、西脇工に決勝でサヨナラ負け。甲子園が目前まで迫りながら、しかも自分の地元のチームに負けたのが悔しくて仕方なかった。最後の夏は5回戦で三田松聖に0-1で負けた。負けた悔しさより高校野球が終わった喪失感が大きかった。先発した初回に無安打で奪われた1点が決勝点になって、最後の打者も僕で…。不完全燃焼で終わった」
▼大学で飛躍
-大学で大きく飛躍した。
「高校野球が終わって、大学で基礎からやり直していこうと割り切れていた。進学する際、藤田監督から『投手一本でいけ』と言われたこともあって投手で勝負した。レベルが高い兵庫でやってきたつもりだったが、大学はよりスケールの大きい選手ばかりだった。隣で投げる梅津(晃大=中日2位)の球の方がよっぽど速い。『何じゃこりゃ』と衝撃を受けたけど、そこから反骨心で燃えた。原樹理さんや、一つ上の飯田晴海さん(現新日鉄住金鹿島)ら、先輩から教えてもらえた部分も大きかったと思う。ただ、これだけ球速が伸びたのは自分でもびっくりしてます」
-プロに向けて。
「キャンプではいい意味で(周囲に)驚いてもらえるように準備する。新人らしく思い切った投球で開幕から抑えてまずは新人王を狙っていく。ファンから『背番号20といえば甲斐野』と思ってもらえるようになりたい」
▽かいの・ひろし 1996年11月生まれ。西脇市立黒田庄中から東洋大姫路高に進学。東洋大では3年秋にリーグ5勝で最優秀投手に輝く。187センチ、86キロ。右投げ左打ち
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