コトバのチカラ
■柔道・阿部詩「2番の表彰台に乗る感覚を味わえた。神様からの試練」
いつの間にか、相手が倒れている。柔道女子52キロ級、阿部詩(うた)(日体大2年、夙川高出)が投げるスピード、切れは一級品だ。一本を取りにいく正統派の世界女王は、日本のお家芸を背負って立ち、東京五輪の主役になる。
2019年夏、五輪と同じ会場の日本武道館で開かれた世界選手権。リオデジャネイロ五輪覇者のマイリンダ・ケルメンディ(コソボ)を破って2連覇し、衝撃を与えたが「五輪で優勝するまでは、本当のチャンピオンではない」と言い切る。
秋のグランドスラム大阪大会は決勝でフランスの難敵に惜敗。夙川高1年のシニア国際大会デビュー以来、続いた対外国勢無敗記録は途絶えたが「2番の表彰台に乗る感覚を味わえた。神様からの試練。負けをしっかり受け止めることが、さらなる成長につながる」とどんな材料も自らの血肉にする。20年2月、代表選考会となったドイツでの国際大会を制し、五輪切符を初めてつかんだ。
3人きょうだいの末っ子。神戸の和田岬で育った。ままごとをしてくれたらと、両親が家の形をした大きな遊具を用意すると、小さな体で屋根に上り、豪快にジャンプ。そんなおてんば娘だった。
兄で男子66キロ級の一二三(パーク24、神港学園高-日体大出)を追い、5歳で柔の道へ。「お兄ちゃんがするなら詩もする」と3歳上の兄にも闘志むき出し。「天性の勝負師」といわれる原点があった。
来夏、夢舞台の幕が上がる。女子52キロ級、日本勢初の金メダルへの道。叙情詩は畳の上で紡がれる。(藤村有希子)
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