コトバのチカラ
28年目を迎えるサッカーJリーグ1部(J1)に、「カズ」こと三浦知良(横浜FC)が帰ってくる。国内最高峰の舞台でのプレーは13年ぶり。プロとして昭和、平成、令和時代を駆け、26日に53歳となる元日本代表の前例なき挑戦は注目を集める。開幕戦は23日、古巣のヴィッセル神戸と神戸市兵庫区のノエビアスタジアム神戸で対戦する。けがで調整は遅れているが、4年半暮らした「大好きな街」から新たな歴史の一歩を踏み出そうと燃えている。(小川康介)
■イニエスタの股を抜きたい
三浦は今も年3回は神戸を訪れ、なじみのカフェで友人らと語り合う。「どこと開幕戦をやりたいかって聞かれたら、ヴィッセルって言うだろうな」。離れて15年、古巣は元スペイン代表MFアンドレス・イニエスタ(35)ら各国代表経験者がずらりと並ぶチームに様変わりした。「J1トップクラスの規模で、Jリーグを引っ張っている」と敬意を払う。「イニエスタの股を抜きたい」と発言した真意を問われると「僕らエンターテインメントですからね。そういうフレーズも面白い」と、しゃれっ気たっぷりに笑った。
神戸はいつも活力を与えてくれる街だという。J1復帰決定から1週間後の昨年11月30日も、三浦は神戸にいた。翌日に草野球デビューを控えるイチローさん(46)と飲食店で合流。3月に現役を退いた野球界のスーパースターに「じゃあ、とりあえずお疲れさまでした。乾杯!」と声を掛けると、「なんかあれだなぁ、アバウトだなぁ」と苦笑交じりで返されたという。
2人は2017年12月にも神戸で食事をしている。イチローさんは米大リーグのマーリンズを退団し、移籍先未定のままトレーニングを続けていた。三浦は2部(J2)や3部(J3)にステージを下げても現役を続けたい考え。でもイチローさんは「最低でもメジャー、最高でもメジャー。でなきゃ辞める」と言った。三浦は「すごみを感じた。自分は甘いな」と信念を貫く覚悟に刺激された。
年末年始恒例となったグアムでの自主トレーニングでは朝5時台に起床し、3部練習を敢行した。日々の練習の前後にはストレッチや足首のアイシング、交代浴など入念なケアを欠かさないが、1月のチーム始動後は左臀部(でんぶ)に痛みが出て2度別メニュー調整となっており、影響が心配される。
■カズのまま死ぬ
昨季はJ2で3試合の出場にとどまり、無得点。厳しい現実にも「現役を続けるのに理由なんかないでしょ。『カズのまま死ぬ』って言ってるんだから」と気力は衰えない。代名詞のカズダンスも「(ゴールを決めて)舞いたいね」と意欲十分。同世代の希望も背負い、背番号11がプロ35年目のシーズンに挑む。
〈サッカー界の最年長記録〉 J1最年長出場記録は、2012年に中山雅史(コンサドーレ札幌)がマークした45歳2カ月1日。最年長得点記録はジーコ(鹿島アントラーズ)の持つ41歳3カ月12日で、26日に53歳となる三浦知良が達成すると、いずれも大幅な記録更新となる。海外では昨年、イスラエル4部リーグに73歳で出場したGKが「プロレベルの試合に出場した最高齢のサッカー選手」としてギネス世界記録に認定された。三浦もJ2時代の17年に50歳14日で得点し「リーグ戦でゴールを決めた最年長のプロサッカー選手」に認定されている。
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