コトバのチカラ
女子1500メートル準決勝、最後の直線。田中の5着入りと、日本人初の決勝進出はもう間違いない。ただ、もっと驚くべきはタイムだ。「3分57秒、3分58秒…」。フィニッシュ。4分切りを果たした。
自身がマークした日本記録を、中1日で3秒以上塗り替えた。規格外の事態に「うれしい気持ちが強すぎて実感が湧かない」と手放しで喜んだ。
序盤から先頭に出た。狙ったわけじゃない。「自分の走る1レーンに空間ができていたから」と瞬時に判断。2周目も「他の選手を休ませない方がいい」とハイペースで集団を引っ張る選択をしたのがはまり、終盤の上位確保につながった。
153センチの小さな巨人は絶好調だ。自他共に認めるネガティブ思考のはずが、今大会は相当、前向きになっている。「たぶん、ゾーンに入ってる。オリンピックという空気に助けられて」。5000メートル予選敗退にも、せっかくの五輪を楽しもうと心を切り替えられた。
21歳が紡ぐ言葉は独創的だ。この日は「中学の時以来、人生2度目の気持ち」に再会したらしい。気迫を全身にまとった、がむしゃらさ。「今後いつ、巡り合えるか。気持ちや状況は一期一会」。決勝舞台は、走る詩人に新たな出会いを用意する。(藤村有希子)
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