コトバのチカラ
元競泳選手の大西順子さんは遅咲きの大器だ。初五輪の2000年シドニーでは、女子400メートルメドレーリレーで日本の銅メダルに貢献。04年アテネ五輪には、日本競泳史上最年長の29歳で出場した。
-シドニーの代表選考会、日本選手権100メートルバタフライで初優勝。25歳だった。
「それまで私は国内3、4番手の選手だった。でもこの時は過去にないくらい、いい仕上がりで。調子が良すぎて震えるというか。きっちり練習を積めて、体と心が初めて一致した。いわゆる『ゾーン』に入ったのはあの時だけ」
-シドニーのリレーでは第3泳者として2人を抜き、日本を3位に押し上げた。
「最初(背泳ぎ)の中村真衣さんが出遅れて5番。出番を待つ(自由形のアンカー)源純夏さんと顔を見合わせ、ぼうぜんとして『1回座る?』みたいな…。私は1、2番のアメリカ、オーストラリアにはかなわないけど、他の国よりは前に行けると思い、少しでも後ろを離そうと泳いだ。苦労して取れた銅メダル。何色でもうれしかった。今でもメンバーと飲むと盛り上がって、中村さんが『私が遅かったから』と言うと『ほんと遅いわ』とツッコミが入る」
-アテネは100メートルバタフライ8位で2大会連続入賞。大会後、現役を退いた。
「04年春の日本選手権で日本記録を出した後、ずっと調子が悪いままアテネを迎えた。ただ、シドニー(6位)に続いて『決勝の舞台には立つ』と内心思っていて。達成し『やっと終われた』と感じた」(聞き手・藤村有希子)
▽おおにし・じゅんこ 1974年10月18日、高砂市生まれ。荒井中-高砂高-筑波大出。2001年競泳世界選手権福岡大会の女子100メートルバタフライで銅メダル。現在はコナミスポーツでスイミングスクールの運営管理や指導などを担当する。
2019/10/2東京パラ 車いすテニス女子シングルス 上地結衣「悔しい。でもそう思えるなら、まだもう少しやっていける」2021/9/6
上地結衣「私が他の国の選手だったら満足していた」 国枝の「金」思い吐露2021/9/5
記者コラム<サイドライン>大矢、家族とつかんだ銀2021/9/4
上地結衣、15年続く支援の絆 スポンサー第1号は母の勤務先 東京パラ車いすテニス2021/9/2
「どうすれば一緒にできる?」 車いすバスケの北間優衣 同級生考案「私ルール」が挑戦の原点2021/8/31
「いつか両手挙げ喜べるように」男子400Мリレー、絆に触れた夜更け2021/8/8
“走る詩人”田中希実「今後いつ、巡り合えるか。気持ちや状況は一期一会」記者もうなる言葉のセンス2021/8/7
田中希実8位入賞「自分の中の常識を覆すことができた」東京五輪・陸上女子1500M2021/8/6
「たぶん、ゾーンに入ってる。オリンピックという空気に助けられて」田中希実、日本新で決勝へ 東京五輪2021/8/5
「メダルを見るまで死ねない、と馬淵先生に言われてるので」寺内健、6度目の五輪2021/8/3
阿部一二三「歴史を塗り替えた」詩「初めての感覚」兄妹で五輪制覇2021/7/25
阿部兄妹の父・浩二さん「僕らは毎日、幸せをもらっている」金メダリストの家族物語2021/7/25
フィギュアスケート・三原舞依「氷ってこんなに滑るんだ」2020/7/22
バスケットボール・森ムチャ「負ける気はしなかった」2020/6/7
ソフトボール・乾絵美「上野さんの球は、砲丸のような衝撃」2020/2/19
高校野球・明石商、来田涼斗「代替大会も甲子園の交流試合も全勝したい」2020/6/16
ラグビー・山中亮平「誰のため、何のためにプレーするのかがすごく明確になった」2018/12/16
「チームのためならウオーターボーイだってする」ラグビー世界的名手ダン・カーター、神戸を去る 2020/5/23
関学大アメフト前監督・鳥内氏「脳みその肉離れはない」活動自粛の過ごし方2020/5/11
バスケットボール・テーブス海「ウイルス終息の時に…」新型コロナ拡大を受け2020/4/23
柔道・阿部詩、一番の恩返しは「お父さん、お母さんに金メダルをかけること」2020/2/28
柔道・阿部一二三 「自分自身の柔道は…」丸山戦3連敗で決意2020/2/20
柔道・阿部一二三「絶対にやられっぱなしでは終われない」東京五輪へ黄信号2020/2/20
三浦知良52歳「現役続けるのに理由なんかない。カズのまま死ぬ」2020/2/14
イニエスタ「このクラブ、神戸の街にとって重要なタイトル」J1神戸が天皇杯初V2020/1/3
柔道・阿部詩「2番の表彰台に乗る感覚を味わえた」対外国勢無敗記録途絶え 2020/1/1
競泳・大西順子「調子が良すぎて震えた」遅咲きの大器、ゾーンを語る2019/10/2
飛び込み・寺内健「慣れないと知っていることが強みかも」6回目の五輪切符を手に2019/7/14