コトバのチカラ
元日決戦という未知の領域で、神戸は鹿島を完封して見せた。クラブ創設25年目の初タイトルが天皇杯。「このクラブ、神戸の街にとって重要なタイトル」。主将としてチームを束ねたイニエスタは優勝セレモニーで天皇杯を掲げた。金銀のテープが舞う中、誇らしげに両腕を伸ばした。
「みんなで声を掛け合ったのが今日の勝因。それが、このチームに欠けていたことだった」
今夏加入のベテランGK飯倉は2点リードで迎えた後半、仲間の成長を感じていた。3バック中央の大崎を中心に指示を飛ばし、鹿島の波状攻撃を連動した守備で阻止。声だけでなく、フェルマーレン、ダンクレーの両DFは鋭い読みでパスをカットし、上下運動を繰り返したボランチ山口はシュートを横っ跳びで食い止めた。
「すぐにセカンド(こぼれ球)にも行く。チームとして成熟した」。夏の移籍組の一人、酒井も勝ち誇った。
攻撃面では、フィンク監督の采配が的中した。リーグ戦で出場機会が少なかった藤本を1トップ、ポドルスキを右シャドーに配置。藤本は背後を突く動きで奥行きをつくり、ポドルスキは全方位にボールを散らし、機を見てドリブル突破。神戸が磨いてきた「ポゼッション」を体現し、2人は全2得点に絡んだ。
震災、経営難、度重なる監督交代、2度のJ2降格…。この四半世紀は苦難に満ちていたが、2018年夏、スペインの名門バルセロナの傑作、イニエスタの加入で針路が定まった。在籍2年目で栄冠をもたらした世界的名手は「今後、さらに成長する大きな第一歩になる」。神戸の悲願成就は「国立の歓喜」として語り継がれる。(有島弘記)
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