子どもの頃に街角で見かけることが多かった金属製の看板を懐かしいと感じる50代以上の人も多いのではないでしょうか。この金属製の看板は、明治から昭和中期にかけて利用された「ホーロー看板」と呼ばれるものです。ホーロー看板は金属に光沢のある塗料で印刷されており、主に屋外用広告として使用されていました。
このホーロー看板を活用した企業として「大塚食品株式会社」が挙げられます。なかでも今年で発売から57周年を迎えた「ボンカレー」の広告として使われたホーロー看板は人気だったようです。当時どのような流れでホーロー看板が活用されたのかについて大塚食品株式会社の広報部の方に話を聞きました。
ー当時、数ある商品のなかで、なぜ「ボンカレー」がホーロー看板に選ばれたのですか?
「ボンカレー」は、大塚食品が開発した世界初の市販用レトルトカレーだったためです。
軍用携帯食をヒントに開発されたボンカレーは、これまでなかった商品であり、なかなか理解が得られませんでした。保存料を使わずに常温保存できることや3分で食べられると説明しても「そんなはずはない」「腐らないなら防腐剤が入っているのでは?」などの声がある状況でした。
ー最初から便利な新製品だと喜ばれたのではないのですね。
食べたことがない物の味を想像することは困難です。そこで、販売店にてボンカレーの試食会を始めました。実際にボンカレーを食べていただき、お店に置いてもらう。商品がある販売店にホーロー看板を設置する。これを地道に繰り返しました。
ーどのくらいホーロー看板を設置されたのでしょうか。
全国で9万5千枚です。当時20人ほどいた営業担当者が、毎日ライトバンや自転車を使って50軒から60軒を回り、営業が成功した店にホーロー看板を設置しました。
ーでは、現在も残るホーロー看板は当時の営業さんの努力の成果なんですね。
営業担当者の努力によって、どこでも目にするという状況を作ったことで、ボンカレーは売上を伸ばしました。1973年のデータでは、年間販売数量1億食を達成しています。
ーちなみに、ボンカレーのパッケージにデザインされた「丸」には、何か意味があるのでしょうか?
「おいしさ三重丸」の意味が込められています。また、名前の「ボン」についても良く質問されるのですが、こちらはフランス語のBON(良い、おいしい)と英語のCURRY(カレー)で、「おいしいカレー」という意味を込めています。
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発売から57周年を迎えたボンカレーは、国産野菜使用など安心への要望に応えています。「こどものためのボンカレー」は、一食分の野菜が摂れて、アレルギー物質28品目中該当なし、あたためずにご飯にかけても美味しいなど、大塚食品さんでは、ホーロー看板の頃のように、要望や声に耳を傾けた商品開発をしています。
また、2025年3月17日からは、濃厚でしっかりしたにんにくのコクと旨みが楽しめる『ボンカレーネオ にんにくマシマシ 辛口』が発売されます。さまざまな味で食卓を楽しませてくれるボンカレーシリーズを、この機会に手に取ってみてはいかがでしょうか。
(まいどなニュース特約・長澤 芳子)

























