みよし風土記の丘ミュージアム(広島県三次市)に展示されている、巨大なワニの食品サンプルに注目が集まっている。
ワニといっても熱帯から亜熱帯の地域に生息するワニではなく、広島県三次市庄原市ではサメのことを「ワニ(和邇)」と呼び、古事記の「因幡の白兎」にも記録されているそう。
現在も親しまれるワニの食文化について、みよし風土記の丘ミュージアム(広島県立歴史民俗資料館)学芸員の井上翔太郎さん、巨大なワニの食品サンプルを製作した株式会社いわさきの北出真司さんにお話を聞いた。
--サメの食文化と、「ワニ」と呼ばれている理由について。
井上:明治時代には、刺身などのワニ料理は正月やまつりのハレの日に欠かせないごちそうとして、広島県三次市、庄原市一帯で食されていました。
--どんな調理法で食べるのですか?
井上:三次市・庄原市一帯では、昔は刺身や湯引き、煮凝りなどがワニ料理の定番でした。現在では、ワニバーガーやスイーツなどの新しいワニ料理も作られ、進化してるんですよ。
--サメはアンモニア臭が出て美味しくないと聞いたことあるのですが…お味は?
井上:実は冷蔵技術が発達した現在では、臭いはほぼありません。モチモチと弾力があり、美味しい!と好評です。昔は臭みを消すために、おろし生姜や生姜醤油で食べたそうで、今でもその習慣は残っています。昔の人はワニのにおいを嗅ぐとお腹が空いた、という話もあり、強いにおいも醍醐味として楽しんでいたようです。
--食品サンプルについて、大きさや作り方は?
北出:大きさは約90cm。三次で食べられているサメは2mくらいの個体なのだそうですが、1体まるごと食品サンプルにしたかったので1m程度のサメを探し、型に入れて製作、身の部分も全身の型を作成したサメから刺身を作成し、型入れして食品サンプルを製作しました。目の部分のみ、リアルさと迫力を出すためにフィギュア用の眼を加工して使用しています。
--こだわった部分はどこですか?
北出:死んだサメは魚体にハリがなくなるので、展示サイズのサメの生体を手に入れるのが大変でした。半年ほど探し回り、なんとか手に入れることができたので、サメ肌の質感や迫力が再現できたと思います。型を作成する際にサメ肌のざらざらした部分が材料に食い込み、苦労しました…。
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イベントでは、天ぷらやパフェなど食品サンプル製作体験も行っているそう。予約や開催日時はHPやSNSをチェックしていただきたい。夏休みの自由研究にいかがだろうか。
(まいどなニュース特約・米田 ゆきほ)