ちゅーるに夢中の「ブッチー」 ©しろやぎ秋吾
ちゅーるに夢中の「ブッチー」 ©しろやぎ秋吾

生命の死を司る存在として、世界中に伝説が残る「死神」。漫画家・しろやぎ秋吾さんが手がける『ちにかみ 死が怖い小さな死神』(KADOKAWA)に登場する死神は一風変わっています。その名も「ちにかみ」という死神の子どもで、同作は、ちにかみをめぐる様々なドラマが描かれた一冊です。以前X(旧Twitter)に猫型の死神に関するエピソードが投稿されると、約2万もの「いいね」が寄せられています。

■死神猫をかつて飼っていた猫と間違えてしまう老人

ある日、死神としての役目を果たすために現世で過ごしていた猫型の死神「ブッチー」。「一流の死神に情けなど無用」「音もたてず ただ静かに 狩りとるのみ」と素早く移動していると、男性の老人に「タマ!?」「おまえ タマじゃろ!!」と抱きかかえられてしまいます。

人違いだと暴れたものの老人にちゅーるを差し出され、いとも簡単に手懐けられてしまうブッチー。そして、老人は自宅に連れて帰り、家族に「タマが帰ってきたんじゃよ」と伝えるも「タマはもういませんよ」と返されてしまいます。ブッチーは飾ってあるタマの写真を見て“老人は自分を死んでしまったタマだと思っている”ことに気づくのでした。

そして、老人の命は、もってあと数日であることも知っているブッチーは「ボケてくれているのはむしろ都合がいい」「ちゅーる生活 まんきつしてやる」と思っていました。しかし、ちゅーるを取りに行った拍子に倒れ、救急車で運ばれる老人。命が絶えたと思った矢先、奇跡的に一命を取り留めました。

その後、ブッチーは死神「インフェルノ」に「どうやって人間は運命を変えた?」「どうやって生きのびた?」と尋ねると、「ブッチー いや 今はタマだったか…」「お前が側にいてやればいい あとは人間が決めることだ」と応えるのでした。

後日、あの世にやってきた老人は現状に驚きながらも「タマ!! タマは!?」と声を上げます。側にいたブッチーが「タマなら あっちで待ってるぜ」「早くいってやりな」と伝えると、老人の先には座っているタマの姿が。そして、タマが走ってきて老人の胸に飛び込むのでした。

読者からは「電車の中で泣いてしまった」「ちゅーるでメロメロになるブッチーが可愛すぎる」といった反響が。そこで作者のしろやぎさんに、同作を描いたきっかけについて話を聞きました。

■「ちにかみ」は娘が名づけ親?

-『ちにかみ 死が怖い小さな死神』を描いたきっかけを教えてください。

ラクガキで描いていたイラストに家の娘が「ちにかみ」と名前をつけて、その響きが可愛すぎてこのキャラクターを広めたいなと思ったのが最初です。

-『猫型の死神』の中で、特にお気に入りの場面があれば、理由と一緒にぜひお聞かせください。

1話目のシリアスになりそうで全然なりそうにないところが好きです。

-ブッチーのデザインはどのような経緯で誕生したのでしょうか?

いろいろ考えました。死神っぽい姿をしているタナトスとインフェルノが既にややこしいのにこれ以上死神っぽいデザインだと覚えられないと思って思い切って猫型にしました。モチーフは死神の「黒白無常」で、黒白、、、ぶち猫、、、ブッチー、、、という流れです。

-読者にメッセージをお願いいたします。

いつも漫画を見ていただいてありがとうございます。ちにかみの読者さんは皆さん連載当初から本当に温かい目で見守ってくれているなと感じていて、コメントもいつも優しくて助けられています。

なかなか毎日更新できないこともあるのですが、これからもマイペースに続けていきたいと思っているので、応援よろしくお願いします。

(海川 まこと/漫画収集家)