家の敷地内に現れた生後推定2カ月のフータくん(画像提供:ナオとフータさん)
家の敷地内に現れた生後推定2カ月のフータくん(画像提供:ナオとフータさん)

Xユーザーのナオとフータさん(@i3n7ppc2Vc63125)は、茶白の男の子2匹と暮らしています。元保護猫のナオくんとフータくん。ふたりとも、家の敷地内で偶然出会ったことがきっかけでした。

2010年の夏、庭から子猫の鳴き声が聞こえてきました。飼い主さんが外に出てその声の主を探すと、子猫が足元にやって来てスリスリーーそうして甘えて来たその子こそ、ナオくんでした。

当時、ナオくんは生後推定2カ月。愛犬のクウちゃんがいたこともあり、しばらく様子を見るつもりだったといいます。

「でも、いつまでたっても庭から離れなかったんです。譲渡先を探しましたが、なかなかみつからずーーそのうち情が移って、気づけば我が家の家族として受け入れることに。うちに来たときの鳴き声から『ナオ』と名付けました」

■“フー!”“シャー!”からのスタート 頼った相手はまさかの…

ナオくんを迎えてから1年ほど経ったある夜のこと。飼い主さんは、庭を走り抜ける小さな影を目にしました。

「そのときは暗くてよく見えず、何だったのかはわかりませんでした。でも翌日、車庫の棚で『フー!』『シャー!』と威嚇する子猫を見つけて、驚きました」

突然の再会に慌てながらも、飼い主さんはすぐに子猫を保護。急いで獣医さんのもとへ向かいました。

「まったく人間に慣れておらず、キャリーの扉を開けた瞬間に飛び出して、診察室を逃げ回ってしまいました。このとき初めて、人馴れしていない猫は洗濯ネットに入れて病院へ行くものだと学びました」

診察の結果、子猫は推定生後2カ月。人に慣れていないため、里親を見つけるのは難しいと感じた飼い主さんは、そのまま家族として迎えることを決めました。

「うちに来た初日から『フー!』『シャー!』と鳴いていたので、『フータ』と名づけました」

飼い主さんによると、フータくんが家の中で落ち着いて暮らすのには、少々時間がかかったとのこと。しばらくは、脱走対策をした庭と家を行ったり来たりしていたといいます。そこで、飼い主さんはあることを試してみることにしました。

「ある日、フータが庭にいるとき、ナオも出してみたのです。すると思いがけない光景が…。フータが一直線に駆け寄り、ぴったりとくっついたんです。まるで親子のような姿で…本当に驚きました」

その日を境に、フータくんは少しずつ家の中で過ごせるように。今でも飼い主さん以外には心を許していないものの、ナオくんの存在が大きな支えになったことは間違いありません。

■ナオくんとフータくん、対照的なふたりの関係

現在、ナオくんは15歳、フータくんは14歳。ふたりはべったりという関係ではありませんが、ほどよい距離感を保っています。

「フータはナオが大好きで、毛づくろいをお願いして近寄るんです。でも、ナオは最初だけやって、途中で耳をガブリ! ケンカ寸前になります(笑)」

それでもフータくんは、決して怒らず、ナオくんのそばにいたい気持ちは変わりません。

「例えば、ナオが私のベッドで寝ていると、フータはあきらめてリビングのテーブルの下で寝るんです。いじらしくて、本当にやさしい子です」

ふたりの性格はまさに正反対なのだとか。

「ナオは、天真爛漫で無頓着。フータはビビリで繊細。雷が鳴るとフータは一目散に隠れますが、ナオは爆睡しています(笑)」

■大切な存在を失った夜、寄り添ってくれたふたりのぬくもり

3年前、長年ともに暮らしてきた愛犬クウちゃんとの別れが訪れました。

「クウが虹の橋を渡ったとき、私はソファに座ってうなだれていたんです。そしたら、ナオとフータが両脇に来て、ずっと寄り添ってくれて…。あのとき、『猫も人の気持ちがわかるんだなあ』と心から思いました」

そんなナオくんとフータくんも、今は立派なシニア世代に。

「いずれはお別れの時が来るとわかってはいます。でも、少しでも長く元気でいてくれるように、できることは全部やるつもりです」

そして、改めてふたりに伝えたい想いをこう語ってくれました。

「ナオもフータも、今こうしてそばにいてくれるだけで幸せです。これからも、ふたりが穏やかに過ごせる毎日を守っていきたいと思います」

(まいどなニュース特約・梨木 香奈)