京都、烏丸御池にあるイチゴの専門店として人気のスイーツショップ「メゾン・ド・フルージュ」。 ショーケースにはイチゴを使った様々な種類のケーキが並び、年間2万人が訪れるという超人気店です。
しかしその歴史は、ケーキ作りの知識が全くなかったオーナーが、会社を辞めてたった1カ月でお店をオープンするという無謀ともいえるチャレンジから始まりました。苦難にも負けず粘り強く続けた理由に迫ります。
■扱うイチゴは30種類にレシピは100種類以上!自信作は、食べる前に楽しめる工夫も!?
話を聞いたのは代表で「イチゴの専門家」を名乗る渡部美佳さん。お店で扱うイチゴは年間で約30種類になるそうです。
さらに、同じ品種でも状況によって味が変わるため、その時々の味によってイチゴを使い分けているそうです。これらを使い分けたスイーツのレシピはなんと100種類以上!
美佳さんに自信作を聞いてみると、第3位は生のイチゴのフレッシュ感が味わえる「イチゴのチーズケーキ」。徳島県産の「さちのか」を使用。第2位は、京都府産の紅ほっぺとキイチゴを積めるだけ積んだ「イチゴのミルフィーユ」。これは食べる時、ミルフィーユにかけられたテープをハサミでカットして、“イチゴセレモニー”も楽しめるという逸品です!
そして自信作第1位は、王道中の王道、「イチゴのプレミアムショートケーキ」。卵、小麦粉、生クリームなど全てにおいて一流の贅沢品を使い、中のイチゴは愛媛県産の「紅ほっぺ」、上に載せるイチゴは京都府産の「おいCベリー」と種類を分けるこだわり様。スポンジにもイチゴソースを染み込ませているので、見た目以上に食べた時にイチゴ感を感じてもらえる、まさに贅の極みのショートケーキなのです。
さらには、洋菓子だけではなく、葛まんじゅうや水無月など和菓子のメニューまで豊富に展開。これほど魅力的なスイーツを作り続ける美佳さんですが、実はお店を始めるまでお菓子作りの経験はなく、スイーツショップで働いたことも修業したこともなかったのです…!一体どうやって、ゼロから現在の人気店になったのでしょう?
■退職からわずか 1カ月で店をオープン!売り上げゼロでも感じたやりがいとは?
大学卒業後、服飾会社で働いていた美佳さん。2003年、突如人生を変える出会いが訪れます。
それは…仕事関係の友人から「すっごい美味しいもの見つけてん」と、勧められたイチゴ!
口にした瞬間、その味の濃さに衝撃を受けます。「これはイチゴなんだろうか?」とテンションが上がった美佳さんは友人の誘いに乗り、愛媛県の生産者を訪ねることに。そこで見た農場の自然の循環を活かした様子に、すっかり魅了されます。
実は友人は、このイチゴを使った店を始めようとしていたのです。イチゴへの可能性を感じ、「一緒にやってみたい」と思った美佳さんは、勢いで友人と店を出すことに決めたのです!
しかし、二人とも菓子作りは未経験!ケーキの切り方さえもわからず、修業すらしたこともない状態。料理教室に通いながら見よう見まねでケーキ作りをする始末でした。
そんな状態にも関わらず、退職から1カ月で店をオープン!売り上げがゼロの日もありましたが、美佳さんには大きなやりがいがありました。それは、会社勤めの時と比べて、お店に来たお客様から聞きたいことが直接聞けるということでした。
■次々訪れる試練…開店当初からの「イチゴのこだわり」に取材班が落胆!?
やりがいだけを頼りに細々とお店を続けて4年目。雑誌でお店が紹介されているのを見た百貨店のバイヤーから、催事のオファーを受けることに。その当時はまだ、「〇〇専門店」という店が珍しく、その切り口がおもしろかったそうです。
これがきっかけで各地から催事に呼ばれるようになり、知名度もどんどん上がっていきました。しかし、これからという時期に思いもよらない2つの試練が訪れるのです…!
1つ目は、相棒の友人が結婚を機に辞めることになったこと。お店の存続を悩んだ美佳さんでしたが、今辞めてしまったら「あの時辞めなければ…」と思う人生になると考え、一人でやってみることを決断します。
2つ目は、テレビの取材を受けた時。自信を持って答えたイチゴへの「こだわり」が、取材班を落胆させてしまったのです。
それは…お店を始めるきっかけとなった、愛媛県の農家のイチゴ1種類だけを使っていたこと。「イチゴの専門店」と聞いて取材に来たメディアが期待する答えとは違うと感じた美佳さんは、その期待通りのイチゴの店にすることを目指します。
こうして、「全国のイチゴ農家を訪ねるしかない!」と、北は北海道から南は大分まで、全国のイチゴ農家を尋ね歩きました。そして、作り方を見て生産者の話を聞き、納得のいく農家とだけ契約を結ぶことにしたのです。
■仕入れの際にも工夫を!農家から喜ばれる「ある提案」とは
さらには、仕入れの際には農家から喜ばれる「ある提案」を行なっています。それは、「サイズ関係なく」仕入れをすること。
通常、いちごはサイズを揃えてパック詰めをして出荷するため、仕分けに手間がかかるのですが、その手間と時間を大幅に減らすことができるのです。
そんな仕入れが可能なのも、「イチゴの専門店」だからこそ。基準はイチゴの美味しさなので、どんなサイズや形でも使うことができるのです。
このようにして、農家と良好な関係を築くことで、初めは知識や経験がなくても諦めない決意と変化を受け入れる柔軟さや周りへの気遣いが成功へと導いたのでしょう。
■番組情報
〇番組名
日経スペシャル もしものマネー道もしマネ
〇内容
『もしもの時』に備えるマネー道!マネー活用バラエティ!
〇放送日時
テレビ大阪 第1~3日曜日 午後2時放送!放送終了後はYouTubeチャンネル、TVerで無料見逃し配信中。
(まいどなニュース/クラブTVO編集部)