1970年の大阪万博の記念写真
1970年の大阪万博の記念写真

2025年は昭和100年の節目。

各地で記念イベントが開催されているが、今SNSでじわじわと拡散を見せているのが株式会社西田葬儀社(名古屋市昭和区)が9月28日に開催する「昭和を偲ぶ会」。

偲ぶプロが企画するというだけでユニークだが、昭和を思い出すことで脳を刺激し、心の健康にもつながる「回想法」をコンセプトにしたいたって真面目な内容のようだ。

西田葬儀社の蜷川顕太郎さんにお話を聞いた。

--イベントを企画した経緯は?

蜷川:今年は昭和100周年という節目の年です。昭和にちなんだイベントを考えていたところ、テレビやネットでも改めて昭和が大きな関心を集めていることが分かりました。

葬儀社として故人様を偲ぶ場を担ってきましたが、過ぎ去った時代を偲ぶこともまた意義があるのではないかという思いから今回の企画を立ち上げました。

昭和を生きた世代には懐かしい記憶を呼び起こしていただき、昭和を知らない世代にはその魅力に触れていただく。世代を超えて昭和を思い出すことで、「忘れない」「今も心の中で生き続ける」という大切さを、イベントを通じて伝えていきたいと考えています。

--コンセプトである回想法につながる思いですね。

蜷川:ご年配の方が昔の話をされる時、目を輝かせて熱量を持って話す姿に、以前から感銘を受けてきました。

そんな折、北名古屋市が回想法を健康療法として取り組んでいることを知り、大きな関心を持ちました。回想法とは、昔の体験や記憶を語り合うことで脳を活性化し、心の安定をもたらすとされる健康療法です。認知症予防にもつながり、脳と心を元気にすると言われています。

また「故人様を思い出すと、天国でその人の上に花が降り注ぐ」という言葉もあります。昭和を思い出すことは、昭和を共に生きた今は亡き方を偲ぶことでもあり、供養にもつながると考えています。

つまり、昔を思い出すことは、自身の心身を健やかにし、同時に大切な人を偲ぶ供養にもなる--思い出すことには良い効果がたくさんあるのです。その大切さを、葬儀社として伝えていきたいと思いました。

まるで法要の場でご親族が集まり、故人様の思い出話に花を咲かせるように。昭和の思い出も皆で分かち合っていただきたいと考えています。

--イベントの見どころは?

蜷川:日本福祉大学・来島修志先生による回想法の講演では、思い出を語り合うことが心や脳に与える効果について学んでいただけます。会場には“昭和懐かしキット”として、1970年大阪万博のパンフレットや黒電話、給食食器、そろばんなどを展示します。当時の暮らしや文化を実際に目にしながら感じていただけます。

さらに「昭和写真コンテスト」では一般の方々に加え、春日井製菓様や西濃運輸様といった企業からも作品が寄せられています。家族の記録や企業の歴史が並ぶことで、懐かしさとともに、まだ知らなかった昭和を発見できる機会にもなります。

また会場では昭和ナポリタンやコロッケ、昭和風カレーライスや帽子パン、駄菓子など懐かしいメニューが勢ぞろい。ステージも設置されており、コーラスグループが昭和の名曲を披露し、懐かしいメロディで耳から昭和を味わっていただけます。香りや味、そして音楽が一体となり、五感で味わう昭和体験をお楽しみいただけると思います。

--これまでの反響は?

蜷川:昭和写真コンテストには多くの応募が寄せられ、集まった作品からは当時の暮らしや空気を感じ取ることができます。

イベントのチラシを見て「回想法の講演を聞きたい」「懐かしいから行きたい」といった声も届いています。当日は「夢と希望に満ちた青春とロマンの時代 “昭和”」を体感していただけるよう準備を進めています。昭和100周年を偲び、笑顔と語らいにあふれる場を創り出したいと考えています。

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昭和を偲ぶ会は9月28日、名古屋市南区のメモリアルハウス平子桜花で開催される。普段、葬儀場として利用されている会館なので、将来、自身が偲ばれる立場になった時の下見にもうってつけだ。参加無料なので、ご興味ある方はぜひ足を運んでいただきたい。

株式会社西田葬儀社会社概要
本社所在地:愛知県名古屋市昭和区若柳町2-5
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昭和100周年記念「昭和を偲ぶ会 ~回想法で脳も心も元気に!~」
日時:2025年9月28日(日)9:00~13:00
会場:メモリアルハウス平子 桜花(名古屋市南区大堀町11-4/地下鉄桜通線「鶴里駅」徒歩10分)
入場料:無料

(まいどなニュース特約・中将 タカノリ)