神奈川フィルハーモニー管弦楽団(提供)
神奈川フィルハーモニー管弦楽団(提供)

 プロオーケストラがSNSに投稿した「お願い」が、ネット上で大きな注目を集めています。発信したのは「神奈川フィルハーモニー管弦楽団」(神奈川県横浜市)。演奏会中に「ブラボー」の掛け声や拍手のタイミングを間違える観客がいるというもの。同楽団では「必ず指揮者のタクトがおりるまで、ほんの少しだけお待ちいただけますようお願いいたします」と呼びかけています。

■「再三問題に」対応に苦慮

 同楽団が投稿した「いつもあたたかいご声援をいただきありがとうございます」から始まる文章を紹介します。

 「曲が終わったあとの余韻は指揮者をはじめ、楽団員やソリストとお客様が音楽の余韻をわかちあう大切な時間です。『ブラボー』や拍手は必ず指揮者のタクトがおりるまで、ほんの少しだけお待ちいただけますようお願いいたします。作曲家によっては曲の最後に全休符を書いている楽曲もあります。作曲家が生涯をかけて作曲した繊細な音楽をどうか最後まで会場のお一人お一人が楽しめるようご理解とご協力を心からお願いいたします」(神奈川フィルハーモニー管弦楽団公式X、9月14日の投稿から)

 投稿したきっかけについて、同楽団の担当者はまいどなニュースの取材に対し、「これまでもプロオーケストラの間では、再三話題にあがる問題であり、私どもの演奏会でも何度も対応に苦慮してきた経験から投稿したものです」と回答。

 プログラムや会場アナウンスなどで呼びかけても起こってしまうそうで、「お手上げ状態です」(同楽団担当者)。

 担当者は、「お客様が最後の余韻まで聴いてくださった演奏会は、演奏家はもとよりお客様や関係者も一様に『よい演奏会だった』と感想をいただくことが多い。人間の感情の一部ですので、100%コントロールすることは不可能かもしれませんが、(改善するよう)少しずつではありますが広めてまいりたいと思います」と前向きに話しました。

■感動の意思表示が「悪」ではない

 かといって、感動を伝える意思表示が「悪」というわけではありません。

 日本オーケストラ連盟の公式サイトでは、よくある質問を掲載。「拍手をするタイミングが分かりません」という問いに対し、次のように解説しています。

 「拍手のタイミングを間違えない方法は指揮者が腕を下ろして力を抜くのを確かめることです。ジャン!と終わった瞬間に盛大な拍手を送りたくなる時もありますが、一拍おいて、気持ちを噛みしめてから拍手に移れば、一人で拍手してしまう・・・かも、という恐れはなくなりますよ」(日本オーケストラ連盟「コンサートQ&A」から)

     ◇

 同楽団の投稿には1万を超えるいいねがつき、「フライングされると興醒めします」「しっかり余韻を味わいたいです」「全休符も音楽」「指揮者がタクトを下ろすまでが作品」「ライブでも言える」などの反応が広がっています。

(まいどなニュース・金井 かおる)