初めてのネイルに思わず笑顔 “天真爛漫な祖母”が戻ってきた瞬間/和田さん(@yukiko10130104)提供
初めてのネイルに思わず笑顔 “天真爛漫な祖母”が戻ってきた瞬間/和田さん(@yukiko10130104)提供

愛する息子を亡くし、「もう生きててもつらかばっかり(つらいことばかり)」と涙を流すようになった祖母。そんな祖母にかつての明るい笑顔を取り戻したのは、孫娘が施した一本の水性ネイルでした。 

長崎県在住の和田由希子さん(@yukiko10130104)が、祖母にネイルとメイクを施した際の感動的なビフォーアフターをThreadsに投稿したところ、「きれいになるって、エネルギーがわく」「いくつになっても綺麗にしてもらうと嬉しいですよね」と多くの人の心を打ち、感動の輪が広がっています。

「以前は天真爛漫で愛嬌のある祖母でしたが、父(祖母にとっては息子)を亡くした後は『もう生きててもつらかばっかり』『早くお迎えに来て欲しい』と涙を流す日が続きました。夜も泣くことが多く、目元が腫れていたのを覚えています」

祖母は入退院を繰り返し、自ら施設に入所することを決意。スタッフの前では気丈に振る舞う一方、孫と面会するたびに悲しみを吐き出していたといいます。

「父を亡くした悲しみは私も同じでした。父子家庭で親友のような関係だったので、喪失感は大きかった。ただ『そんなこと言わないで』とは言わず、祖母の思いに共感して寄り添いました」

そんな中で出会ったのが「介護美容」でした。

「Instagramで広告を見かけ、ネットで調べたのがきっかけです。美容というより心に働きかけるセラピー要素が大きいと知りました。元々おしゃれが好きだった祖母のことを思い出し、見よう見まねでネイルやメイクを試してみました」

最初は「畑仕事ばかりで手が汚いし、指も曲がっているから」と拒んでいた祖母。しかし、「せっかくだから塗ってみない?」と勧めてネイルを始めると、色やシールを選ぶ時間から表情が変わっていきました。

「祖母は30年ぶりのメイクでした。最中から歌を口ずさみ、手を盆踊りのように動かして嬉しさを表現していました。仕上がった時の笑顔は、昔と変わらない天真爛漫な祖母そのものでした」

誕生日にメイク後の写真をプレゼントすると、祖母は涙を流しながら家族のために生きると語ったといいます。この経験が、和田さんにとっても大きな転機になりました。

「ただ塗るのではなく、祖母の言葉一つ一つに寄り添い、楽しい雰囲気を作り、一緒に笑いながら『可愛い』『綺麗』と伝えることが介護美容だと思いました。祖母が『私たちのために生きる』と力強く言ってくれた時、確信しました」

和田さんは、この体験を「父が置いて行った介護美容の置き土産」と表現しています。

「父の最期にも、注射の跡が残る腕をオイルでマッサージしたり、浮腫んだ足を足湯で温めたりしました。その時に『気持ちよかな』と笑顔で言ってくれたのが忘れられません。祖母へのケアも、その延長線上にありました。父が祖母を頼むよと伝えてくれたように感じたんです」

投稿には「おばあ様の顔が明るくなった」との声や「介護美容を通して他の高齢者も幸せにしてほしい」といった応援の言葉が寄せられました。

和田さんが伝えたいのは、「少しの工夫で人生は再び輝ける」という想い。

「長崎ではまだ介護美容の認知度が低く、ボランティアと思われがちです。きちんと知識と技術を学び、長崎で一番のセラピストを目指したい。年齢や性別、障害や病気の有無に関係なく、誰もが自分らしく生きがいを持って暮らせるようにお手伝いしたいです」