ライブは最高だったのに痴漢に遭って最悪 ※画像はイメージです(gttkscg/stock.adobe.com)
ライブは最高だったのに痴漢に遭って最悪 ※画像はイメージです(gttkscg/stock.adobe.com)

都内で働くAさんの趣味は、大好きなアーティストのライブを思いっきり楽しむことです。そして本日は半年間楽しみに待っていたライブ当日。ライブはいつも通りとても楽しく、Aさんは中盤あたりまで夢心地で楽しんでいました。しかし、ふとお尻に誰かの手が触れるような感覚を覚え、Aさんは現実に引き戻されます。

後ろを見ると、大柄な男性がAさんの背後にピッタリと位置取っています。周囲は混みあっているものの満員電車ほどではない状況のため、Aさんはこの男性が自分に近すぎることに違和感を抱くのでした。

その後もライブ中、Aさんは幾度となく身体に触れられ、せっかくのライブなのにまったく集中できません。スタッフに痴漢を突き出そうかとも思いましたが、ライブの真っ最中に被害を訴えたら、演奏が中断してしまったり、最悪ライブが中止になってしまったりと、アーティストや他のお客さんに迷惑をかけてしまうかもと考え、動くこともできずにいました。

場所を移動することで痴漢の被害から逃れることはできましたが、Aさんの胸には悔しさが湧き上がるばかりです。このようなライブ終了後に、現行犯でなくても痴漢を逮捕することは可能なのでしょうか。千葉県で警察官として20年以上勤め、現在はサービス業を起業して活動している笹岡健司(仮名)さんに話しを聞きました。

■現行犯でなくても防犯カメラが証拠となるケースも

ーライブを観に行く際に有効な痴漢対策を教えてください。

最近では、実際に痴漢に遭遇した被害者がスマホ画面に表示させるSOS画像を作成し、使用を推奨しているアーティストもいます。このような活動もあり、昨今ではライブ中に発生した痴漢が逮捕につながるケースも存在しているのです。

そのため、ライブ参加前にこのSOS画像をすぐ表示できるようにスマホに準備しておくこともおすすめします。

痴漢は潜在化してしまいやすいことが特徴で、立証のためには目撃者の証言や防犯カメラの活用が有効です。危険を感じたらひとけのない場所は避け、違和感を覚えたら周囲やスタッフに助けを求めるようにしましょう。

一緒に行くご友人やライブ仲間と情報を共有し、痴漢に遭わない、痴漢を許さないという共通認識を持っておくのもいいでしょう。

ー現行犯でなくても痴漢を逮捕することはできますか?

痴漢に限りませんが、犯罪の立件には証拠が大切です。そのため、犯人確保のためには現行犯が望ましいといえます。

とはいえ、やむを得ず現行犯での確保ができなかった場合には、警察に届け出ましょう。ライブ会場に協力を仰いで防犯カメラの確認を行うなど証拠の確認をすることになるでしょう。

もし友人などと一緒にライブ会場にいて現場を目撃している場合には、証言してもらえるようにしておくことをおすすめします。

ー痴漢が捕まったらどのくらいの罪になりますか?

都道府県で定められた迷惑防止条例違反になり「6月以下の懲役又は50万円以下の罰金」とされていることが多いです。または不同意わいせつ罪(刑法176条)にあたることもあり、その量刑は、「6月以上10年以下の拘禁刑」と法定されています。

痴漢は犯罪です。泣き寝入りせずに声をあげましょう。

(まいどなニュース特約・長澤 芳子)