美しいこのネックレスがまさか人毛で出来ているなんて…(長谷川彰良さん提供)
美しいこのネックレスがまさか人毛で出来ているなんて…(長谷川彰良さん提供)

19世紀にイギリスで流行した人毛のジュエリーがSNS上で大きな注目を集めている。

「まさか『人毛』だなんて...
展示を見た誰もが、口をそろえて驚かれます
19世紀に流行したモーニングジュエリーは、伝統的に『遺髪』からつくられました
長さ1.7mもある、このチェーンも人毛です
精巧に編み込まれた人毛は、150年ほど経った現在も、美しいまま残っています」

と件のジュエリーを紹介したのは衣服標本家の長谷川彰良さん(@rrr00129)。

首にかける長いチェーンはよく見れば確かに人毛を編んだもの。非常に美しく、とても150年前に作られたものとは思えない。

長谷川さんにお話を聞いた。

ーー人毛を用いた作品の存在を知った時は。

長谷川:一番は驚きです。近代服飾史においてはさまざまな新素材が登場します。18世紀後半から19世紀前半にかけての産業革命の中では、針金やバネを仕込んだ下着や、伸縮性のあるゴム材をドレスに用いるなど進化がみられます。素材の革新化が進む中でプリミティブな人毛がファッションに取り入れられたのが興味深いです。

ーー人毛を用いることにはどんな意味があるのでしょうか?

長谷川:人毛ジュエリーの発展に寄与したのは弔いの気持ちでしょう。平均寿命も短い19世紀において、故人との繋がりを象徴する素材が人毛でした。ヴィクトリア女王が身につけたことで、ひとつの流行となりました。

ーー投稿に大きな反響がありました。

長谷川:現代ではあまり見られない人毛ジュエリーですが、英国の若者たちのあいだでは静かなブームも見られるそうです。スマホ社会におけるカウンターとして、人との強固な繋がりを示すクールなアクセサリー感覚で身に付けているそうです。SNSの反響から、日本でもそんな文化が生まれたら面白いかも...?なんて想像しています。

◇ ◇

SNSユーザー達から

「最近『人毛で服作る人いないのかなー?』とかぼんやり思ってたんですけど、やっぱりあるんですね…しかもおしゃれだ 」
「人毛と言えば 髪綱ですね~。 その昔、大伽藍を作るとき、綱が持ちこたえられなかったとき 人毛を綱にして 巨木の柱を持ち上げるために作りました。」
「人毛には魂が宿っているということで、昔から深い意味がありますよね。」

など数々の驚きの声が寄せられた今回の投稿。

今回の話題を提供してくれた長谷川さんは今年11月22日から12月1日にかけ「半・分解展 大阪 -生きた布と死の衣服-」(大阪)、12月10日から同13日にかけ「半・分解展 大阪 -生きた布と死の衣服-」(東京)を開催する。大阪では人毛ジュエリーも数種類展示されるということなので、ご興味ある方はぜひ足を運んでいただきたい。

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半・分解展 大阪 -生きた布と死の衣服-(大阪)
【開催日時】
11月22日(土)から12月1日(月)
13:00開場 20:00閉場
※最終日のみ15:00閉場
【会場】
大織健保会館(Daiori-Kenpo Kaikan)
大阪府大阪市中央区瓦町2丁目6-9 8階
【入場料】
ウェブチケット
早割り3900円 前売り4900円 当日6000円
当日現金チケット7000円
すべてのチケットで期間中の再入場がいつでも何度でも無料
中学生以下、入場無料
障害者手帳のご提示にて1,000円キャッシュバック

◇ ◇

アール・ヌーヴォーとスーツ展(東京)
【開催日時】
12月10日(水)から12月13日(土)
13:00開場 20:00閉場
※初日のみ18:00開場、最終日のみ19:00閉場
【会場】
ギャラリー大和田
東京都渋谷区桜丘町23-21 2階
渋谷駅より徒歩7分
【入場料】
ウェブチケット
早割り1600円 前売り2500円 当日3400円
当日現金チケット4000円
すべてのチケットで期間中の再入場がいつでも何度でも無料
中学生以下、入場無料

(まいどなニュース特約・中将 タカノリ)