あすか製薬株式会社(東京都港区)は、このほど「働く女性を対象とした月経随伴症状のセルフケア」に関する実態調査の結果を発表しました。同調査によると、月経時に「仕事のパフォーマンスが約4割低下」することがわかりました。また、月経に伴う不調で離職に至るケースがあることも明らかとなり、月経に関する課題が社会全体で取り組むべきテーマであることがわかりました。
調査は、月経があり月経随伴症状を自覚する全国の15~44歳の働く女性1000人(正規・非正規雇用各500人)を対象として、2025年8月にインターネットで実施されました。
まず、「過去1年間に経験した最もあてはまる症状」を尋ねたところ、最も多かったものは「生理痛(腹痛・腰痛)」(52.1%)で、次いで「感情的な変化(イライラや気分の落ち込みなど)」(19.5%)、「疲れやすい・眠気」(17.2%)が続きました。
また、月経による何らかの症状がありながらも「我慢した経験がある」と答えた人は78.6%にのぼっています。
そこで、「月経随伴症状に対する具体的な対処法」を教えてもらったところ、「市販薬(鎮痛剤・漢方など)の服用」(46.6%)、「休養をとる/安静にする」(16.9%)、「我慢する」(15.1%)、「婦人科を受診する」(9.6%)が上位に挙がりました。
また、対処法別の満足度では「市販薬(鎮痛剤・漢方など)の服用」(77.6%)、「婦人科を受診する」(65.5%)や「休養をとる/安静にする」(61.3%)で高くなりました。
続いて、「月経や月経随伴症状に関する情報の入手方法」を尋ねたところ、「インターネット検索」(57.9%)、「SNS」(35.7%)が上位となったほか、「家族」(17.9%)や「友人」(14.5%)といった身近な人から情報を得ているケースもみられました。
また、「情報の信頼性を判断する基準」については、「発信源が信頼できる(自治体・医療機関など)」(47.0%)が最も多く、インターネットやSNSが主要な情報源である一方で、多くの人が信頼性や根拠を意識して情報を求める傾向があるようです。
次に、「月経随伴症状の就労への影響」について聞いたところ、月経による不調で休暇を取得した人は「有給休暇」(11.9%)、「無給の休暇」(5.6%)、「生理休暇」(4.6%)と、全体で22.1%にとどまりました。
そこで、直近3カ月以内に月経随伴症状による不調で仕事を休んだ日数をもとに、年間の日数を算出したところ、正規雇用は平均「7.1日」、非正規雇用では平均「9.4日」という結果となりました。
一方で、月経随伴症状があっても「休んだことはない」と回答した人は77.9%にのぼり、そのうちの95.8%が月経により「仕事のパフォーマンスに影響がある」と回答しています。
また、「月経がない時の仕事のパフォーマンスを100点」とした場合、月経がある時は平均59.8点にとどまり、40.2%のパフォーマンス低下が認められました。
加えて、年間で月経随伴症状により仕事に影響を受ける日数は、正規雇用では平均「18.7日」、非正規雇用では平均「18.2日」という結果となり、就労への負担が大きいことがうかがえます。
さらに、少数派ではあるものの、月経に伴う不調で「離職」に至るケース(6.4%)も見られ、その理由としては「業務内容が身体的に負担だった」(68.8%)、「在宅勤務や休暇制度など、柔軟な働き方ができる体制・環境が整っていなかった」(37.5%)、「相談できる相手がおらず、職場の理解を得られなかった」(26.6%)が挙げられました。
そこで、「月経時の仕事のパフォーマンスを高めるために必要だと思うこと」を聞いたところ、「市販薬(鎮痛剤・漢方等)の服用」(58.4%)、「休養をとる/安静にする」(54.3%)といった意見が多く挙げられた一方で、「周囲の理解」(27.3%)、「周囲のサポート」(22.5%)という声も寄せられました。
また、「職場や社会に対して求めたいサポート」としては、「生理休暇・体調不良時の柔軟な休暇取得制度の整備」(52.3%)、「在宅勤務や時差出勤など柔軟な働き方の選択肢」(38.2%)、「生理用品や痛み止め等の無償提供・設置」(36.0%)が挙がり、制度や環境面での改善を望む人が多くなりました。
最後に、「本調査結果を社会に発信することで期待される変化」を聞いたところ、「月経随伴症状が『甘え』ではなく健康課題として認識されること」(52.5%)、「月経や女性の健康に対する理解が社会全体で深まること」(50.9%)のほか、職場での制度・環境改善や、男性を含む社会全体の理解促進を望む声も多く、月経に関する課題は社会全体で取り組むべきテーマであることがうかがえる結果となりました。