岩手県で犬猫の保護活動を続ける「ハッピー アニマルクラブ」(@happy.animal.club)がInstagramに投稿した体験談が波紋を広げている。
病院の猫専用待合室で、見知らぬ高齢者が連れていた犬がキャリーに放尿。穴から中まで尿が入り、キャリー内の保護猫リオくんが背中までびしょ濡れになったという。投稿主に詳しく聞いた。
■ 11時ごろ、混雑した待合室で起きたこと
当日は午前11時ごろ。座席は予備椅子まで満席で、猫待合室に犬がいる状況だったという。
「飼い主さんが立ち止まった瞬間、犬が床に置いていたキャリーへ放尿しました。『犬におしっこかけられた!』と声を上げましたが、飼い主さん・スタッフ・周囲の方は固まったまま。こちらからお願いして乾いた布巾を1枚渡されたのみで、その間に飼い主さんは謝罪もなく立ち去りました」
院長から「申し訳なかった」と一言はあったが、キャリーや猫の消毒などのフォローはなし。投稿後には「病院を変えた方がいい」との声もあったが、地方では選択肢が少ない現実もある。
「ここは患畜を大切にしてくれる良い病院でもあります。待合室の導線や注意喚起は課題ですが、現実的に通い続ける予定です」
■FIP寛解のリオは無事 “今日を生きる子”の回復力
突然の被害にリオくんは強いストレスを受けたが、帰宅後は落ち着きを取り戻した。
「ワクチン接種直後だったので体調が心配でしたが、現在は元気です。水不要のシャンプーで何度も拭き取り、キャリーや敷物はすべて洗剤で洗いました」
なお同行していたもう1匹はシニアで神経質なため、そちらに尿がかからなかったのは不幸中の幸いだったと振り返る。
■ 「犬は悪くない。責任は飼い主に」保護ボランティアの視点
怒りの矛先を犬へ向けるつもりはない、と投稿主は繰り返す。
「混雑した猫待合室に犬を連れ込まない、長時間なら外で排泄させる、失敗したらすぐ拭く・謝る。犬は飼い主を選べません。起きたことの責任はすべて人にあります」
SNSには「キャリーを床に置いたほうが悪い」という指摘もきたが、保護活動で同時に複数頭の通院が常で、混雑時はベンチ上に置けない事情を説明。
「状況も知らずに断罪する“クソリプ”は気にしません。ただ、『犬を殴れ』などの虐待発言は論外。即ブロック・削除しています」
■受診現場の“あるある”を可視化 犬も猫も守るためのマナー
散歩中のふんを放置、待合室でのほえ放題、院内排せつの放置…現場では珍しくないという。
「失敗は動物にはある。その後、飼い主がどう動くかが大事です。犬も猫も悪く思われない環境づくりに、飼い主側のマナーが欠かせません」
■それでも前を向く…保護猫リオの“第二の猫生”
リオくんは保護猫で、治療を頑張りFIP(猫伝染性腹膜炎)を寛解。今回も無事に年次ワクチンを完了した。
「ショックではありましたが、許せないわけではありません。せめて一言の謝罪と床の拭き取りなど、飼い主として当然の対応をしてほしかった。ただ、それでも私たちは今日できるケアを積み重ねます」
◇ ◇
“犬は悪くない、責任は人にある”。当たり前だが、混雑と緊張が重なる病院の待合室では、その一歩が誰かの安心と安全を支える。犬猫双方のためのマナーが、実は私たち“人”の礼儀そのものだと教えられた出来事だった。
(まいどなニュース特約・渡辺 晴子)
























