今から4カ月ほど前、トルコ在住のXユーザー・ねこズとにぼしさん(@nekonekkop)は、大けがを負った子猫と出会いました。名前は「Nezmy(ねずみ)」くん(取材時・生後4カ月・男の子)。ふだんは「ねずくん」と呼ばれており、その出会いは思いがけないものだったといいます。
■観光客が託した小さな命との出会い
飼い主さんが暮らすトルコには、路上動物の生きる権利を保障する法律があり、街には地域猫や猫小屋の姿が多く見られます。
「もちろん、すべてが税金で運営されているわけではないので、街のみんなが協力して地域猫を育てています。実際はボランティアさんに負担がかかっていたりもします」
そんな環境のなか、ねずくんとの出会いは2025年6月15日に訪れました。地域猫の小屋でボランティア活動をしていた飼い主さんのもとに、大けがをした子猫を連れた観光客カップルが現れたのです。
「観光客さんは、自分が治療費を出して子猫を病院に連れて行くけれど、その後を見守ることができないこと。そのため、子猫がきちんと治療を受けて地域猫の小屋に戻るまでを見届けてほしいと言っていました。その場の流れで通訳を引き受けた私は、一緒に病院へ行き、観光客さんと連絡先を交換して、子猫の見守り役を担うことになったんです」
退院するころには情が移り、ねずくんを家族として迎えることを決めた飼い主さん。家にはすでに先住猫がいて、「兄猫に弟ができるのは、きっといいことかもしれない」という思いも背中を押しました。
■少しずつ広がっていった家族との距離
新しい暮らしが始まった初日、ねずくんはソファの隙間にこもり、出てこなかったそうです。飼い主さんは専用の部屋を用意し、少しずつ慣れていけるよう工夫しました。
「最初の数日は1部屋をねずくん専用にして隔離し、少しずつ慣らしていくことにしました。3日目くらいからは先住猫と会わせて、一緒に過ごす時間を少しずつ増やしていったんです。思った通り、お兄ちゃんが“ねずLOVE”にーー本当に面倒見がよくて。ねずくんがうちに馴染めたのは、茶白兄のたぬきくんのおかげです」
一方で、ねずくんは体力が戻ると警戒心が強まり、飼い主さんに「シャー」と威嚇することもありました。それでも飼い主さんは「猫同士が仲良くしてくれたら十分」と受け止め、4匹目を迎えた自分自身の心境の変化に驚いたといいます。
「海外で暮らしているので、いつか日本に帰る時のために新たに猫を迎えないつもりでした。でも獣医さんに相談したところ『猫がいると幸せだから、増えればもっと幸せになるよ』と言っていただいたんです。それが、ねずくんを迎える後押しになりました。3匹の猫と暮らして気づいたのは、2匹だと関係性が濃すぎることもあるけれど、3匹だとほどよい距離感が生まれて、猫たちもノビノビしているように見えるということです」
■食いしん坊で内弁慶な“ねずくん”
今ではすっかり元気を取り戻し、兄姉猫とともににぎやかな毎日を送るねずくん。食いしん坊で負けん気が強い一面もあり、暮らしは活気にあふれているそうです。
「10日も入院していたのに、検診で病院に行くのを怖がって、キャリーの中でぶるぶる震えていました。でも家に帰ると兄や姉にちょっかいをかけて、姉に怒られても全然気にせず『ヒャッホー』と元気いっぱい。体は小さいのに他の猫のご飯を奪おうとするので、食事のときは今でも隔離しています」
ねずくんはいま、きょうだいに囲まれ、優しい飼い主さんに見守られながら、穏やかな日々を過ごしています。
「ぱんだ、たぬき、きつねに続いて、家族になったねずみーーどんな運命か、どんどん“触れない子”になっています(笑)。抱っこできるベタベタの猫ちゃんに憧れますが、どんな猫もかわいいです。ねずくんが来てくれたおかげで兄も姉も生き生きしていて、本当にうれしい。『これからもよろしくね』と伝えたいですね」
(まいどなニュース特約・梨木 香奈)
























