近年の人手不足で転職がしやすくなったことに加え、職場でのトラブル回避や退職までの期間短縮などでニーズが高まっていることを背景に、退職代行サービス市場への参入が増加しているなか、10月22日、退職代行サービス大手の「モームリ」が、無資格で顧客を弁護士に紹介し報酬を得た疑いがあるとして、警視庁の家宅捜索を受けました。
株式会社帝国データバンク(東京都港区)が保有する企業データベースや外部情報を基に集計・発表した「主要『退職代行サービス』動向調査」によると、退職代行サービス事業者は全国に少なくとも52法人あることが判明、そのうち「弁護士法人による運営」は3割強にとどまることがわかりました。
調査の結果、本人に代わって退職したい意思を会社に伝える「退職代行サービス」を展開する事業者は、全国に少なくとも52法人。このうち、59.6%が株式会社など「民間経営(株式会社、合同会社などで運営されているもの)」によるもので、法律を専門とする「弁護士法人(法人格等で判別できたもの)」による運営は34.6%でした。
法人が特定できた退職代行サービス事業者の設立年をみると、52法人のうち75.0%にあたる39法人が10年以内に設立された企業で、5年以内では17法人・32.7%を占めるなど、業歴の浅い事業者が多くなっています。
また、「利用料金」でみると、各社の最低料金(着手金など含む、正社員、税込)の平均は「2万9410円」。このうち、弁護士法人による料金は「約4万4700円」、民間経営による料金は「約2万2500円」と、弁護士と民間経営による料金設定は平均で約2倍の開きがみられました。
民間経営の代行サービスの多くは弁護士による監修があるものの、従前より東京弁護士会などから弁護士法が禁じる斡旋の非弁行為にあたるとして注意喚起がなされており、近時は事業撤退もみられるようになっていました。
こうしたなか、同社は「退職代行業務の『グレーゾーン』に改めて焦点があてられ、民間企業の参入で急成長が続いた同サービスの先行きに黄信号が灯る形となった。ただ、退職代行サービスはトラブルを回避したい労働者から一定のニーズがあり、有用なサービスといえる。『退職代行ビジネス』のあり方について再考が必要な時期を迎えている」と述べています。
























