約9割が「授業料以外の費用」に負担を感じている ※画像はイメージです(metamorworks/stock.adobe.com)
約9割が「授業料以外の費用」に負担を感じている ※画像はイメージです(metamorworks/stock.adobe.com)

2026年4月から、私立高校への支援上限額が引き上げられ、実質的な「私立高校授業料の無償化」が進む見込みです。学習塾『明光義塾』を全国展開する株式会社明光ネットワークジャパン(東京都新宿区)が実施した調査によると、約9割の保護者が「授業料以外の費用」に負担を感じており、私立高校無償化でも家計負担は依然として重くのしかかっていることがわかりました。

調査は、私立高校の受験を予定している中学1年生~中学3年生の子どもを持つ全国の保護者1000人を対象として、2025年10月にインターネットで実施されました。

2025年4月から「高等学校等就学支援金制度(いわゆる私立高校無償化制度)」が拡充され、これまであった所得制限が撤廃されるなど、高校授業料を支援する仕組みが大きく変わりました。すべての生徒が対象となり、公立・私立を問わず年間11万8800円までが支給されています。

調査の結果、全体の8割が「私立高校の授業料が実質無償化になることで、志望校の選択肢は広がった」(大きく広がった33.0%、ある程度広がった47.0%)と回答しました。

また、「私立高校無償化制度についての賛否」については、約4人に3人が「賛成」(賛成42.0%、どちらかといえば賛成32.4%)と回答。「どちらともいえない」は14.1%、「反対」(反対3.9%、どちらかといえば反対5.7%)は約1割にとどまりました。

続いて、「子どもが私立高校を志望する理由」を尋ねたところ、「学習環境・設備が整っている」(37.6%)が最も多く、次いで「大学進学実績」(30.2%)、「無償化など経済面で通いやすい」(26.9%)が続きました。

また、私立高校無償化制度の導入が「子どもの志望校選びに影響した」(大きく影響した18.7%、ある程度影響した48.2%)と答えた人は6割強となり、経済的負担の軽減により、より多くの学校を比較・検討する機会が増えたことがうかがえます。

その一方で、授業料が実質無償化された場合でも、「授業料以外の費用(入学金・教材費・制服代・交通費など)に負担を感じる」(とても負担を感じる37.1%、ある程度負担を感じる52.8%)と答えた人が実に約9割にのぼり、授業料の軽減効果は大きいものの、家計負担の一部は依然として重くのしかかっていることが明らかになりました。

そこで、「私立高校にかかる費用の中で、不安を感じる項目」を尋ねたところ、「入学金」(63.3%)、「修学旅行費」(51.4%)、「施設整備費」(51.2%)が上位に挙がりました。

次に、「私立高校の授業料が実質無償化され、進学者が増えることで入試難易度や競争率への影響」を調査したところ、約4人に3人が「感じる」(とても感じる19.5%、やや感じる53.8%)と回答し、志望校の選択肢が広がる一方で、受験競争の激化を懸念する声が多く、制度の効果と課題が同時に現れていることがうかがえました。

最後に、「私立高校無償化制度について不満に感じる点」を聞いたところ、「授業料以外の費用は対象外」(50.2%)、「学校や地域で負担額に差がある」(32.3%)、「所得制限がある」(32.3%)が上位に挙がり、制度のメリットを享受できる範囲や条件に不満を持つ保護者が多いことが明らかになりました。

なお、2026年度からは所得による制限が撤廃される予定で、より多くの家庭が制度の恩恵を受けられる見込みです。

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【出典】
▽明光義塾調べ