独立後の健康保険ってどうするべき? ※画像はイメージです(こうまる/photoAC)
独立後の健康保険ってどうするべき? ※画像はイメージです(こうまる/photoAC)

年末に退職しフリーランスになる予定のAさん(49歳女性)は、カレンダーを見ながら今後について考えていました。これまで培った技術やコネクションを駆使し、現職から独立することになったものの、初めての起業のため、何かやり忘れてしまった手続きがないか心配だったのです。

それだけではなく、ふたりの子どもを養う親でもあるため、健康保険についても不安を抱えていました。というのも、退職後の選択肢として「国民健康保険」に切り替えるか、「任意継続被保険者制度(任意継続)」が選べるからです。

実際Aさんの立場から考えて、どちらを選ぶべきなのでしょうか。「任意継続」のメリットとデメリットについて、社会保険労務士の小島朋子さんに聞きました。

■任意継続したほうが保険料が安くなる可能性が

ー任意継続とはどのようなものですか?

会社退職後も最長2年間、健康保険の給付を受けられる制度です。全国健康保険協会(協会けんぽ)の場合は、資格喪失日から「20日以内」に申請することによって任意継続被保険者となることができます。資格喪失日の前日までに「継続して2カ月以上の被保険者期間」があることが要件となります。

ー任意継続メリットはなんでしょうか?

国民健康保険には「被扶養者」という制度が存在せず、国民健康保険は加入者それぞれが保険料を負担する必要があります。Aさんの場合、子どもが2人いるので一概には言えませんが任意継続したほうが保険料が安くなる可能性があります。

保険料は、今まで会社負担分だった保険料も任意継続被保険者が払うことになるので、おおよそ給与から控除されていた保険料の2倍の金額になります。国民健康保険の保険料は、各自治体の運営になりますので事前にお確かめください。

ー任意継続にデメリットはありますか?

傷病手当金や出産手当金の給付がありません。保険料を期限までに納付しない場合、翌日から任意継続被保険者の資格を喪失します。また、初回保険料を正当な理由なく期限までに納付しなかった場合は、資格が取り消されますのでお気を付けください。

◆小島朋子(こじま・ともこ)
社会保険労務士/社会保険労務士事務所ホライズン代表
千葉県を拠点に活動する社会保険労務士です。障害年金の代理請求を中心に、法人向けには労務に関する各種ご相談、給与計算業務や給与ソフトの導入・設定確認に対応。会社と人との良好な関係を築くためのサポートに取り組む。

(まいどなニュース特約・長澤 芳子)