「庭の子猫。かわいい」
Xユーザー・ユンコロさん(@ymaysi)がそうつぶやいたのは、2022年6月25日のことでした。添えられた写真には、庭の石畳の上にちょこんと座ってこちらを見つめる茶トラの小さな子猫の姿が。そう、のちに家族となる「こな」ちゃんです。この日を境に、こなちゃんと飼い主さんは少しずつ距離を縮めていきました。
■初夏、庭でふと目があった茶トラの子猫
ある朝、鳥のさえずりが響く庭先に、突然、小さな子猫が現れました。その愛らしさに、しばし見入ってしまった飼い主さん。「ずっと前から知っていたような感じがした」と、当時を振り返ります。
「初めて会ったにも関わらず、ごく自然に距離が縮まっていったんです。夏のあいだは、庭に来て一緒に遊ぶようになりました」
子猫がとくに気に入ったのは、毛糸でした。前足でちょいちょいしてひっかけたり、「捕まえた!」と毛糸の端をくわえて得意げに歩き回ったりして、とても楽しそうにしていたといいます。
「あまりにもかわいらしくて、思わず笑みがこぼれてしまうこともしばしば。子猫と触れ合うひとときは、本当に幸せな時間でしたね」
そうしているうちに夏は終わり、季節は秋へ。気温もぐっと下がっていきました。
「10月9日、子猫を保護しました。当時、生後5カ月。こなと名付けた小さな女の子を家族の一員として迎え入れました」
猫と暮らすのは初めてだった飼い主さん。この日から、こなちゃん、そして飼い主さんはともに新たな生活を始めることになったのです。
■「この子に合うものは…」少しずつ手繰り寄せて育んだ絆
早速、飼い主さんは、こなちゃんが家で安心して暮らせるよう環境を整えることにしました。
「ケージやトイレを置いて、静かに休めるスペースを作りました。キャットタワーはもちろん、壁にはキャットウォークも用意して、室内でもこなが動き回れる立体的な空間を作りたいと思ったんです。好奇心や遊び心を育みながら、のびのびと暮らしてもらえたらと思いました」
最も試行錯誤したのは、ご飯だったといいます。
「こなの好みのものを探すために、いくつかのフードを試してみました。ニオイを嗅ぐだけで口をつけないものもあれば、夢中になって食べるものも。こなのそうした反応や体調などを確認しながら最適なフードを見つけていく過程は、まるで“対話”をしているような感覚になったのを覚えています」
当のこなちゃんは、家で暮らし始めて数日は緊張しているように見えたといいます。そこで、リラックスしてもらうためにあのとっておきのアイテムを使うことにしました。
「こなが大好きな毛糸を見せると、パッと表情が変わって遊び始めたんです。楽しそうなその姿を見てホッとしました」
一緒に遊び、触れ合った3カ月ほどの時間は、こなちゃんの記憶にしっかり刻まれていたようです。日を追うごとに少しずつ距離が縮まっていきました。
「気づくと、ぴったり寄り添ってくれたり、膝の上で眠ってくれたりするようになりました。その温もりと重みが、心を許してくれた証のように感じられて、胸がいっぱいになりましたね」
こなちゃんのいる家は、空気がやわらかであたたかくなったように感じられたといいます。そして、こなちゃんと過ごす時間はなくてはならないものになりました。
「日常のなかにこなの存在がしっかり根付いていくのを感じました。どんなに忙しい日でも、こながいてくれることで心がほぐれるようにーー。こなは、何気ない毎日に“小さな奇跡”を運んでくれるんです。そばにいてくれると暮らしに彩りが増し、心がじんわり温まる、そんな気がします」
■ここが私のおうち! 幸せな日々を過ごすこなちゃん
こなちゃんは現在3歳を迎えました。子猫時代に飼い主さんをメロメロにした愛らしさは、今も変わりません。
「とても優しく賢くて、穏やかな子です。私にとって初めて迎える猫だったので、『どんな子なのだろう』と手探りで一緒に暮らしてきましたが、少しずつ信頼が深まっていったように思います」
飼い主さんは、こなちゃんの個性を大切にしながら過ごしてきました。その思いは、こなちゃんにしっかり伝わっているようです。
「こならしさは、物静かで落ち着いているところかなと思います。そうした仕草や行動のひとつひとつが愛おしくてたまりません。この家を自分の居場所だと思ってくれているのが伝わってきて、さらに絆が強くなったように感じています」
ほかのだれでもない唯一無二の存在ーー。こなちゃんと飼い主さんは、お互いにそんな関係を築いているようです。ともに歩んだ日々を振り返り、飼い主さんはこなちゃんへのメッセージを次のように綴っています。
「これからも、こならしく元気いっぱい、自由に過ごしてね。出会ってくれて本当にありがとう」
(まいどなニュース特約・梨木 香奈)
























