失敗報告に感謝を述べる課長(吉谷光平さん提供)
失敗報告に感謝を述べる課長(吉谷光平さん提供)

誰しも、意図せず大きなミスをしてしまうことはあるものです。頭の中が真っ白になり「もうダメかもしれない」と、心臓がドキドキするような経験をしたことがある人も多いのではないでしょうか。サイコミにて連載中の作品『今どきの若いモンは』からの抜粋エピソードとして、漫画家・吉谷光平さんがX(旧Twitter)に投稿した『失敗を報告すると褒めてくれる課長』では、失敗した部下を責めず、むしろ褒める上司の姿に多くの反響が寄せられています。

ある日、主人公・麦田は、売れると信じて大量発注した商品がまったく売れず、大量の在庫を抱えてしまいます。そのことに頭を抱え、「クビかもしれない」と最悪の状況が脳裏に浮かびながらも、課長に恐る恐る報告するのでした。すると課長から返ってきた言葉は、意外にも「すぐに報告してくれてありがとう」という言葉だったのです。

驚く麦田が「クビじゃないんですか」と怯えていると、課長は「失敗の責任は上司のオレにある。クビになるとしたらオレだ」とさらりと答えます。さらに失敗を隠さずに報告してくれた麦田に対し、「信頼できる部下だ」と褒めてくれるのでした。

涙ぐむ麦田を前に、課長はすぐに解決策を提示し、「新しい取引先を探す」と動き出します。不安そうな麦田に、課長は「分かんねえ時が一番楽しくねえか?仕事ってよ」と笑ってみせます。そのかっこいい言葉に、課長をさらに尊敬する麦田なのでした。

読者からは「こんな上司がほしいです!」「他人にイケズな態度とってる人間はだんだん情報が上がってこなくなって自分が損する」など、さまざまな声があがっています。そんな同作について、作者の吉谷光平さんに詳しく話を聞きました。

■失敗した時こそ早めの報告!でも難しい...

ー「大失敗したのに褒められる」といった展開は実際に見たり聞いたりした内容ですか?

はい、こちらは実際の事例に基づいて描きました。失敗自体はとがめられるべきですが、報告することは褒められるべきだと思っています。

ー「失敗」というテーマを描こうと思ったのは?

「失敗」ほど早く報告して欲しいし、しなくちゃいけない。それをわかっていても、難しいなと思ったのでこの作品を描きました。

ー「分かんねえ時が一番楽しくねえか?仕事ってよ」の課長のかっこいいセリフは?

ありがとうございます。これは僕も思っていることなので描いたと思います。完全に先の展開がわかってしまったら面白くないですよね。

(海川 まこと/漫画収集家)