【漫画】『象の恥、鶴はおどる』より ©金子こねる/新潮社
【漫画】『象の恥、鶴はおどる』より ©金子こねる/新潮社

人は見た目を気にしがちですが、決してそれだけではないようです。漫画家・金子こねるさんの作品『象の恥、鶴はおどる』は、学校での恋物語を描いていた作品です。同作はX(旧Twitter)に投稿されると、約7300ものいいねが寄せられました。

図書委員の花田は眼鏡をかけ、肌荒れが多い自分の顔や手にコンプレックスを抱いていました。今日も図書館の受付カウンターで1人佇み、あかぎれした手を見ながら「象の皮膚みたいだ」と思っています。

そこにクラスの女子生徒・田鶴が本の返却にやってきました。彼女は花田の手を見て「痛そー ばんそうこいる?」と花田の指に絆創膏を巻きます。

田鶴はとても美人で、彼女を初めて見た花田は「世の中にこんなにも繊細につくられた人がいるのか」と驚いたほどです。そんな彼女と初めて目が合い、そして絆創膏を巻かれて花田は恥ずかしさと緊張で混乱します。

明るく社交的で読書好きでもある田鶴は、その後も図書室に足しげく通ってきます。そのうち、田鶴と花田は本をおすすめするほど仲が良くなります。そんなある日、田鶴は花田に「明日一緒に帰らん?」と誘います。

この誘いに花田は了承しますが、内心では動揺が止まりません。明るく美しく誰からも好かれる田鶴の誘いを、花田は恋愛感情ではなく友情からの行動だと確信しており、「勘違いしそうになるのは苦しいな…」と1人悩みます。

次の日の放課後、花田は偶然にも、田鶴とその友人たちの会話を盗み聞きしてしまいます。友人から「最近図書委員と仲良くない?」と聞かれ、田鶴は「仲良しだねぇ 図書室居心地いーし」と答えました。

また好意について質問されると田鶴は「んー好きだね!」とはっきり答え、さらにその理由として、丁寧な話し方や誰も見ていない場所でも手を抜かない彼の真面目さについて語ります。これを聞いた花田は、喜ばしく思う半面、見た目を好意の理由として挙げられなかったことに落ち込んでしまいます。

その後、図書室に現れた田鶴が花田の頭に触れた時、思わず花田は「汚いので…」と言って、手を避けるのでした。

花田が落ち込んでいることを感じた田鶴は、彼を励ますように「手とかほっぺのことよね?最初は痛そうだな~って思ってたけど、象さんみたいでかっこいいなって段々思ってきたよ」と話します。素直に好意を言葉にする田鶴に対し、花田は「そんな嘘ついて…」と言い、また顔に触れようとしている田鶴の手を払うのでした。

好意の言葉を嘘と言われてしまった田鶴は、怒りながら両手で花田の頬を叩くように挟み、「好きな人のほっぺたを触りたいのを嘘とはなにごとだ!」と言い、そのまま帰ってしまいます。

1人ぼっちになった図書室で花田は、田鶴が自分の内面から興味を持ち外見も好きになってくれたことを嘘呼ばわりしてしまったことに後悔するのでした。そして田鶴に謝ろうと、図書室に置き去りにされた彼女のバッグを持って追いかけることにします。

慌てて図書室のドアを開けると、そこには瞳に涙をためた田鶴の姿がありました。花田は田鶴の手を取り、「とても失礼なことをしてしまいました 嫌じゃなかったらこれから一緒に帰りませんか」と誘います。

同作に対し、読者からは「爽やかな終わりでよかった!」「誰も否定する雰囲気がないのがすごくいい」などの声が挙がっています。そこで、作者の金子こねるさんに話を聞きました。

■『一目惚れ』の逆もあるのでは?との思いから描き始めた

-この物語を描こうとお考えになったきっかけを教えてください。

見た目から好きになること(一目惚れ)もあるなら、逆に中身から見た目を好きになることもあるのでは?というところからスタートしました。

-きめ細やかな表現が続く今作ですが、お気に入りのせりふやシーンなどはありますか?

花田の謝罪のシーンは特に楽しく描けました。作品の核になる部分なので、納得するまで時間をかけた記憶があります。

-同作以外で現在執筆している作品はありますか?

現在商業作品の新作を執筆中です。準備に時間がかかっていますが発表できそうなタイミングでX(旧Twitter)で告知させていただくので、思い出した時に覗きにきていただけたらうれしいです。

(海川 まこと/漫画収集家)