特殊清掃員が投稿した「忘れられない現場」が話題に(「汚部屋クリーナーみなみ」さん提供)
特殊清掃員が投稿した「忘れられない現場」が話題に(「汚部屋クリーナーみなみ」さん提供)

「忘れられない現場があります…」

そんな一文から始まる投稿が、いま多くの人の胸を締めつけています。投稿したのは、特殊清掃やゴミ屋敷の片付けを手がける「株式会社まごのて」の公式アカウント「汚部屋クリーナーみなみ」さん(@obeya_minami)。孤独死の現場で目にした、ある出来事について語りました。

■飼い主のそばで重なるように…2匹の犬の最期

投稿によると、その現場は死後2週間以上が経過した孤独死。布団のそばには、2匹の小型犬が寄り添うようにして亡くなっていたといいます。

さらに印象的だったのは、テーブルの上にあった開封済みのドッグフードや食べ物。にもかかわらず、まったく手が付けられていなかったという点でした。

この出来事について、みなみさんは取材に対し、当時の状況をこう振り返ります。

「座卓の近くに毛布のようなものがありましたが、それが犬でした。すでに体は溶け、毛だけの状態でした」

そして、強く心に残っているのが「なぜ食べなかったのか」という疑問です。

■「どうぞ」の声を待ち続けたのではないか

通常、動物は本能的に食べ物を探し、生き延びようとします。しかしこのケースでは、それが見られなかった…みなみさんはこう推測します。

「『待て』『どうぞ』が徹底されていた子だったのではないか。ご主人の“どうぞ”がなければ食べない子だったのかもしれません」

静かに冷たくなっていく飼い主のそばで、声を待ち続け、顔をなめ続けていたのではないか…そう想像すると、胸が締めつけられるといいます。

■「ただのペットではない」現場で感じる絆の深さ

特殊清掃の現場では、こうしたケースは決して珍しくないといいます。犬や猫だけでなく、さまざまな動物がその場に残されていることもあるそうです。

しかし現行の制度では、動物は「物」として扱われるため、警察による保護などは行われず、そのままの状態で残されてしまうケースも少なくありません。みなみさんは、こうした現実に触れながら、現場で感じる思いを語ります。

「“懐く”という言葉ではなく、心が通い合っているとしか言いようがない場面を何度も見てきました」

生きている動物に遭遇した場合は、提携する動物病院やペットクリニックに一時保護を依頼することもある一方で、遺族が引き取りを拒否するケースもあるといいます。

■「これは今の日本の姿」広がる共感と問題提起

投稿には多くの反響が寄せられました。「天国で一緒に過ごせていますように」「胸が締め付けられる」「これが今の日本という現実」といった声が相次ぎ、孤独死とペットの問題に対する関心の高さがうかがえます。

中には、「万が一に備えてコミュニティに属するべき」「年齢を考えペットを飼わない選択をした」という現実的な意見も見られました。

■早期発見が守る“命”と“尊厳”

みなみさんは投稿の中で、ゴールデンウィークなどの帰省時に、家族の様子を気にかけてほしいと呼びかけています。孤独死は、誰にでも起こりうる問題です。そして、その影響は人だけでなく、ともに暮らす動物にも及びます。

早く気づくこと。それは、亡くなった人の尊厳だけでなく、残された命を守ることにもつながるのです。

(まいどなニュース特約・渡辺 晴子)