6月は税金や福祉の重要な変わり目※画像はイメージです(ponta1414/stock.adobe.com)
6月は税金や福祉の重要な変わり目※画像はイメージです(ponta1414/stock.adobe.com)

「あれ?今月の手取り、先月より少ない…?」

6月以降に支給される給与の明細を見て、不思議に思ったことはありませんか。基本給は変わっていないし、残業代も同じくらいなのに手取り額が変わっている。これには理由があります。

実は、毎年6月は住民税の改定や年金支給額の改定などが重なる、いわば「社会保障の衣替え」の時期なのです。手取りの減少は、前年の所得に基づいて再計算された住民税の「特別徴収税額」が確定し、6月支給分の給与から反映されたことが原因でした。なお、健康保険や厚生年金などの社会保険料については、4~6月の給与を基準に再計算され、9月分の保険料から適用されます。実際に給与から控除される時期は、勤務先の控除方法によって異なります。

■なぜ6月?福祉・社会保障関連の「変わり目」が集中する理由

日本の多くの公的制度や税制は、4月からの新年度予算や、前年の確定申告・年末調整の結果を受けて、初夏に実際の税額や給付額が確定します。その中核となる月が「6月」です。

6月には、住民税の年度更新(特別徴収・普通徴収の開始)、年金額の改定(物価変動などに応じた新年度額の適用と通知)、介護保険料や国民健康保険料の賦課決定(自治体による計算の確定)のようなイベントが同時に発生します。

これらの制度は、個人の手取り額や可処分所得に直結します。しかし、多くの手続きが勤務先による「特別徴収(給与天引き)」や自治体からの自動送付で進むため、意識してチェックしないと「いつの間にか負担が増えていた」「受け取れるはずの控除が漏れていた」という事態になりかねません。だからこそ、6月に届く書類のチェックが極めて重要なのです。

■6月に届く!必ず開封すべき「3つの重要通知書」と確認ポイント

6月に入ると、自宅や勤務先経由で重要な書類が次々と手元に届きます。特に重要な3つの通知書について、チェックすべき専門的ポイントを見ていきましょう。

1.住民税決定通知書(住民税の特別徴収税額の決定・変更通知書)

会社員の場合、5月下旬から6月にかけて勤務先から手渡される細長い書類です。ここには、前年(1月~12月)の所得に対して課税された「個人住民税」の総額と、6月から翌年5月まで毎月天引きされる金額が記載されています。

◆チェックすべき盲点:所得控除と税額控除の欄

年末調整や確定申告で申請した「扶養控除」「生命保険料控除」「医療費控除」、そして「ふるさと納税(寄附金税額控除)」などが正しく反映されているかを確認してください。特にふるさと納税を行った方は、「税額控除額」の欄に適切な金額が記載されているかが重要です。申告内容や手続き状況を確認するようにしましょう。

2.年金額改定通知書・年金振込通知書

公的年金を受給している方やそのご家族のもとに、日本年金機構から届くはがきです。年金額は物価や現役世代の賃金変動に合わせて毎年見直され、新年度の年金額が適用された「年金額改定通知書」が6月に届きます。また、実際の振込額を示す「年金振込通知書」も一体となっています。

◆チェックすべき盲点:社会保険料の天引き額

額面の年金額だけでなく、そこから差し引かれる「国民健康保険料(税)」や「介護保険料」「後期高齢者医療保険料」などの特別徴収額(天引き額)を確認しましょう。マクロ経済スライドの動向などにより額面が増えていても、社会保険料の改定によって「手取りの振込額」が減っているケースが起きることがあります。

また、2026年度から「子ども・子育て支援金」が、公的医療保険の保険料に上乗せされる形で徴収が開始されました。今後、2028年度にかけて徴収される支援金率が段階的に引き上げられる予定ですので、確認しておきましょう。

3.介護保険料・国民健康保険料の決定通知書

自営業の方や年金受給者、あるいは40歳以上の方に関係するのが、自治体から届く各種社会保険料の賦課決定通知書です。介護保険料は40歳の誕生日の前日が含まれる月から徴収が始まり、65歳以上になると「第1号被保険者」として所得段階に応じた保険料が個別に計算されます。

◆チェックすべき盲点:所得段階の区分

自治体は前年の「合計所得金額」を基に、通常10~15段階程度の所得段階を設定し、保険料率を決定します。世帯分離や所得の変動があった場合、本来よりも高い段階に設定されていないか、自治体から送られてくる「段階区分表」と照らし合わせる必要があります。

■見落とすと損をする?知っておきたい「確認のメリット」

これらの通知書を「見ないで捨てる」「引き出しにしまう」だけで終わらせてしまうと、以下のような機会損失が発生するリスクがあります。

医療費控除などの還付申告をしたにもかかわらず、6月の通知書で申告した所得控除などが反映されていないように見える場合は、申告時期や申告内容を確認し、判断できなければ自治体の住民税担当窓口に問い合わせましょう。申告の時期によっては、後日税額が変更されることもあります。

住民税非課税世帯や、自治体の減免制度の対象となる世帯の場合は、この税額確定によって正式に決定されます。自治体独自の福祉サービスや、高額療養費制度の自己負担限度額の区分、国からの臨時給付金の受給資格などは、この6月の住民税の課税状況が基準となります。自分が対象であることに気づかないと、申請型の給付金を受け取り損ねることになります。

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情勢が変わるたびに、所得から天引きされる社会保障費も変わってきます。ただ「手取りが減った」「天引き額が増えた」という金額の増減だけでなく、それがどのような制度のために活用されているのか、また、それがご自身の生活の中に、どのように活用されているのか、そんなことも知っていただけると、世の中の見え方が変わってくるのではないでしょうか。

【監修】勝水健吾(かつみず・けんご)社会福祉士、産業カウンセラー、理学療法士 身体障がい者(HIV感染症)、精神障がい者(双極症2型)、セクシャルマイノリティ(ゲイ)の当事者。現在はオンラインカウンセリングサービスを提供する「勇者の部屋」代表。

(まいどなニュース/もくもくライターズ)