霊に憑りつかれたり心霊現象に悩んだりするのは、限られた人かもしれません。そんななか「疲れていると霊に憑かれやすい」という噂を耳にしたことはありませんか。漫画『首のない夜』(作:大友しゅうまさん)では、霊に憑りつかれた実体験が描かれ、X(旧Twitter)では137万回以上も閲覧され、注目を集めています。
物語の主人公は、当時大学4年生で保育士を目指していた女性です。彼女は授業のない日も保育園とアパレル販売員のアルバイトを掛け持ちし、夜遅くまで働く多忙な日々を送っていました。さらに就職活動も重なったことで、そのときは常に睡眠不足だったそうです。
そんなある日、とくに疲れていた彼女は、普段は通らない暗い近道を選んで帰宅することにしました。周囲に人影はなく、静まり返った田畑が広がる道です。そこでふと道沿いの畑を見ると、首のない人のようなものが立っていることに気付きます。
じつは彼女は幼いころから、霊などが見える体質でした。これまでにも軍服姿の人や砂場に埋まった顔など、不思議なものを目にした経験があったのです。
そのため普段であれば、見えても見えないふりをしてやり過ごしていましたが、この日は疲労のせいか無意識に振り返ってしまいました。すると次の瞬間、どこからともなく生首が現れ、音もなく彼女へ近づいてきたのです。
彼女は慌てて逃げ出しましたが、生首は追いかけてきます。危険を感じた彼女は、走りながら母親に電話で「家の鍵を開けておいて」と伝え、そのまま自宅へ駆け込みました。
娘の様子に母親は「大丈夫!? 何があったの!?」と心配しましたが、彼女は「いいからお塩持ってきて」と息を切らしながら訴えます。母親に塩をかけてもらったことで、その場はなんとか落ち着きました。
しかし数日後、彼女は自転車で走行中にバイクと接触。ブロック塀に体を打ち付け、首から下を全身打撲する大ケガを負ってしまいます。不安を覚えた彼女は、お祓いを受けることにしました。
すると神主から「あなた…32体の霊が憑いています」と衝撃的な言葉を告げられたのです。
神主によると、疲れが溜まっていると霊に憑かれやすくなるため注意が必要とのことでした。
読者からは「普段は通らない暗い近道も、もしかしたら呼ばれたのかも……」「数えるのも大変なくらい憑いてる!」「私の友人は2人憑いているだけで痩せ細りました」など、多くのコメントがあがっています。そんな同作について、作者の大友しゅうまさんに話を聞きました。
■フィクションにはない生々しさがある
-同作を描かれたきっかけを教えてください。
実際に漫画として描いた時のインパクトが強そうだと感じたことと、「実は32体もの霊が憑いていた」というオチがあまりにも衝撃的で、とんでもない話だと思ったことがきっかけです。
-同作のようなホラー体験を漫画として表現するにあたり、意識されていることを教えてください。
僕の絵柄は比較的ポップな雰囲気なのですが、怖いシーンはしっかり怖く感じてもらえるように、表情や演出、コマ割りなどを工夫して描くことを意識しています。
-フィクションのホラー作品とは異なり、同作のような実話怪談ならではの魅力はどのようなところにあるとお考えでしょうか。
実話怪談の魅力は、「本当にあったかもしれない」と思えるリアリティにあると思います。フィクションにはない生々しさがあり、日常の延長線上で起こった出来事だからこそ、読者の方も自分事として想像しやすく、より強い怖さを感じられるのではないでしょうか。
(海川 まこと/漫画収集家)























