20代の会社員Aさんは、普段から通勤に電動キックボードを利用しています。ある日、いつも通る道が工事中で回り道をしたところ、道幅の狭い車道に入ってしまい、横を通る車にぶつかりそうになりました。危険を感じたAさんは、自転車の走れる道なら電動キックボードも走れるだろうと思い、自転車が通行可能な標識のある歩道へ入りました。
速度が出ないように気を付けながら歩道を走行していると、路地から突然、小学生が飛び出してきました。間一髪で衝突を回避し、小学生はそのまま走り去っていきましたが、Aさんはしばらくドキドキと高鳴る鼓動が止まりませんでした。
後日、友人にこの出来事を話すと、「そもそも電動キックボードで歩道を走っちゃダメでしょ。危ないじゃん」と指摘されてしまいます。
Aさんは、自転車が走行できる歩道なら電動キックボードも走っていいと思っていましたが、正しいルールを確認したことはありませんでした。電動キックボードで歩道を走行すると、道交法違反になるのでしょうか。弁護士の齊田貴士さんに話を聞きました。
■条件を満たせば、電動キックボードで歩道を走れるケースも
ー電動キックボードで歩道を走行することは可能ですか?
原則として、電動キックボードで歩道を通行することはできません。電動キックボードは特定小型原動機付自転車に分類され、車道の左側または自転車専用道路を通行しなければなりません。
ただし、以下の条件を満たす車両であれば、例外的に電動キックボードで歩道を通行できます。
電動キックボードには、時速6キロメートル以下に制限される歩道通行モードが付いている車両とそうでない車両があります。歩道を走行できるのは歩道通行モードが搭載されている車両のみです。
歩道通行モードのない車両でやむを得ず歩道に入る際は、必ず電動キックボードから降りて歩いて通りましょう。
さらに、車体が歩行者の通行を妨げない構造であることも条件です。具体的には、①側車(サイドカー)を付けていないこと、②走行中すぐに操作できる位置にブレーキがあること、③歩行者に危害を与える可能性のある鋭利な突起がないことです。また、他の車両をけん引していないことも必要です。
ー電動キックボードで歩道を走る際に守らなければならないルールを教えてください。
まず、電動キックボードが通行できる歩道は、自転車通行が可能な標識や標示のある場所のみです。自転車が通行できない歩道は、電動キックボードも通行できません
電動キックボードで歩道を走る際は、歩道の中央から車道寄りの部分(普通自転車通行指定部分がある場合はその部分)を時速6キロメートル以下で徐行する必要があります。
また、走行中は周囲に速度を知らせる緑色の「最高速度表示灯」を点滅させることが義務付けられています。車道走行モード(時速20キロメートル以下)では点灯、歩道走行モード(時速6キロメートル以下)では点滅させましょう。
さらに、歩行者の通行を妨げることになる場合は、一時停止しなければなりません。
ーAさんのように上記のルールを守らずに歩道を走行した場合、どのような罰則が考えられますか?
歩道の走行が可能な車両でルールを守らずに歩道を走った場合、反則金3000円や2万円以下の罰金または科料を科される可能性があります。
また、電動キックボードで通行してはいけない歩道を走った場合には、通行区分違反と認定され、反則金6000円や3カ月以下の懲役または5万円以下の罰金が科されることもあります。
◆齊田貴士(さいだ・たかし) 弁護士/ベリーベスト法律事務所
神戸大学法科大学院卒業。弁護士登録後、ベリーベスト法律事務所に入所。離婚事件や労働事件等の一般民事から刑事事件、M&Aを含めた企業法務(中小企業法務含む。)、税務事件など幅広い分野を扱う。その分かりやすく丁寧な解説からメディア出演多数。
(まいどなニュース特約・長澤 芳子)
























