「お兄ちゃん、取れたで」
ゲームコーナーでクレーンゲームに何度挑んでも取れず、落胆していた親子のもとへ、背後から突然かけられた声。振り返ると、そこには見知らぬ男性たちが立ち、手には息子さんが欲しがっていたぬいぐるみがありました。
代金を受け取らず立ち去った“お兄さんたち”とのやりとりをつづった投稿が、Xで大きな反響を呼び、表示回数は1890万回を超えています。
投稿したのは、6歳の息子さんと出かけた30代の「さとみ@26小受」さん(@aato3tsu980)。当時の状況について、話をうかがいました。
■1000円札を何枚も両替しても取れなかったハチワレのポシェット
出来事が起きたのは、ショッピングモール内のゲームコーナーでのことでした。
映画をきっかけに「ちいかわ」にハマった息子さん。その日、ゲームコーナーで映画のシーンを再現したかわいらしい「ハチワレ」のポシェットを見つけ、珍しく「欲しい!」となりました。ハチワレは、人気漫画・アニメ「ちいかわ」に登場するキャラクターです。
1プレイ200円、500円で3回挑戦できるクレーンゲームでした。クレーンゲームに不慣れだったさとみさんは、1000円札を7、8枚両替したといいます。しかし、何度アームを動かしても景品は落ちませんでした。
息子さんがおもちゃを欲しがること自体が珍しかったこともあり、さとみさんもつい夢中になって挑戦を重ねたそうです。息子さんは「クレーンゲームって難しいんだね」と、悔しそうに話していたといいます。
「かなりお金を使いましたし、親としては取れてハッピーエンドで終われたらという気持ちは、もちろんありました。でも取れないものは仕方がないので、これもひとつの経験として、学びを得たかなとあきらめることにしたんです」
帰る前に、せめて「取れやすい」と書かれた初心者向けの台も見ていこうと、店内の別のちいかわの台を眺めていたそのとき、背後から声をかけられました。
■代金を受け取らずに去った“お兄さんたち”「すぐ取れたから」
「お兄ちゃん、取れたで」
突然のことに驚く親子の前に差し出されたのは、先ほどまで挑戦していたハチワレのポシェットでした。申し訳なさから一度は遠慮したものの、せめて代金をとお札を出したさとみさん。しかし、男性たちは「すぐ取れたから」と受け取りません。1プレイ分の200円すら断り、感謝を伝える親子の前から去っていきました。
受け取った息子さんは、すぐにビニール袋からポシェットを取り出すと、うれしそうに肩から斜めがけに。その日、電車の中でも家に着くまで、ずっと身につけていたといいます。9月中旬には、「ちいかわパーク」(東京都)にも遊びに行ったとのことです。
「照れ屋な息子なので、どれほどうれしかったのか、お兄さんたちには十分に伝わっていなかったかもしれませんが、本当にうれしそうでした」
さとみさんは、投稿に「ゲームセンターで泣きそうになったのは初めて」とつづっています。この投稿には「何だそのイケメンども。幸せが振り注ぐといい」「優しい世界」「こういうカッコいいクレーンゲーマーになりたい…」といった声が寄せられました。
■今も「キャンディ」をもらうハチワレ
現在、そのハチワレのポシェットは、リビングにある洗濯物干しの棒に掛けられています。
幼稚園から帰宅しておやつを食べるときには、「昆布締めにされて捕まっているハチワレがお腹を空かせないように」と、息子さんがポシェットの中にキャンディを入れてあげるなど、今も大切にしているとのこと。
「投稿に『ちいかわ』という言葉を入れていなかったのに、これほど多くの方に見ていただけて驚きました。男性の方々に優しくしていただいた日を思い出し、たくさんの方が一緒に喜んでくださったことも含めて、心が温かくなりました」
(まいどなニュース特約・山岡 もと子)























