お迎え当初のゆーちゃん
お迎え当初のゆーちゃん

動物の命を商品としてしか見ない悪徳ブリーダーのもとで生き延びている子は、想像を絶するほどの過酷な生活を強いられています。ポメ主さん(pomenushi)が引き取ったゆーちゃんは繁殖犬として子どもを何度も産まされており、お迎え当初は生きる気力を失った表情をしていました。

しかし、ポメ主さんから愛され、「生きることの楽しさ」を知ってからは別犬級の姿に…!出会いの経緯や現在の暮らしを伺いました。

■狭いケージでの過密飼育 ボロボロの状態だった繁殖犬を引き取って

繁殖犬だった頃、ゆーちゃんは小さなケージに3匹で入れられ、子どもを産む時だけケージの外へ出されていました。産後は我が子とすぐに引き離され、母乳が止まるようにフードの量を減らされていたそうです。

やがて、ゆーちゃんは出産できない年齢に。2023年の夏、ブリーダーはゆーちゃんを含む高齢の繁殖犬たちの里親募集を開始。知人から、その話を聞いたポメ主さんは、ゆーちゃんと対面し、お迎えを決意しました。

「初めて会った時の体重は1.8kg。覇気もありませんでした。この子、すぐ死んじゃうかもしれないと感じ、最期を看取ってあげたいと思ったんです」

7歳と聞いていましたが、動物病院では10歳以上であることが判明。さらに、腎臓の数値が悪いことも分かりました。尿結石もできやすかった体質であったため、食事は療法食に。処方薬やサプリも服用し始めました。現在は月に3回通院し、尿検査を行いながら体調管理をしています。

「お迎え当初は、赤ちゃんを産んで間もないようでした。怖がって人間に近づかず、部屋の隅から動きませんでした」

しかし、ポメ主さんがスマホで子犬の動画を見ていると、怖がりながらも立ち上がり、部屋中をクンクン。我が子を探しているかのような仕草に胸が締め付けられました。

■外を歩いたことがない元繁殖犬が「生きる楽しさ」を知るまで

ずっとケージの中で過ごしていたゆーちゃんは、外を歩いたことがありません。お迎え当初は散歩をしようとしても歩かなかったそうです。

そこで、ポメ主さんは抱っこをして原っぱに連れて行き、散歩の練習を始めました。そうした努力の積み重ねにより、ゆーちゃんは散歩が好きになっていきました。

心を許してくれたと感じたのは、迎えて3ヶ月ほど経った頃。ゆーちゃんが、自ら膝に乗ってきてくれたのです。それ以来、ふたりは共に暮らす中で絆を深めていきました。

「リビングのエアコンがついていても、私が他の部屋で暑がりながら作業していると、必ずそばへきて、近くで眠るんです」

なお、ポメ主さんのそばにずっといられる就寝時は、ゆーちゃんにとってテンションが爆上がりする時間になっているのだとか。

「寝る準備をしていると、トイレでおしっこを済ませ、寝室の外で布団が敷かれるのを待っています(笑)」

■「動物を物扱いしないでほしい」 日常の中で感じる癒えない心の傷

嬉しい変化がたくさん見られる一方で、繁殖犬時代の過酷な暮らしで負った心の傷が垣間見えることもあります。

「ブリーダーが男性だったようで、いまだに夫には懐きません。あと、おもちゃで遊んだことがなかったため、全く興味を示さないんです」

毎日、愛くるしい姿を見せてくれてくれるゆーちゃんは、ポメ主さんにとって大切な家族。だからこそ、自身の利益だけを考え、動物たちを粗末に扱う悪徳なブリーダーには憤りを感じています。

「そういう現実があることが、とても心苦しい。動物を物扱いしないでほしいです」

何度も望まない出産をさせられ、痛みや恐怖に耐え続けてきたゆーちゃん。そんな愛犬に、「今は幸せですか?」と尋ねてみたいと、ポメ主さんは語ります。

癒えない心の傷を抱えながらも、再び人間を信じてくれたゆーちゃんがこの先も笑顔で過ごせることを願いつつ、動物愛護法が「形だけの法律」ではなく、本当に動物の命と尊厳を守る法として機能するよう、今後の法改正にも注目していきたいものです。

(愛玩動物飼養管理士・古川 諭香)