「一般家庭は洋式トイレが普及したのに、小中学校ではいまだに和式が少なくないのはなぜ?」。西日本新聞「あなたの特命取材班」にそんな声が寄せられた。記者の子ども時代、学校のトイレは和式が大半で「暗い」「汚い」というイメージがあったが、実は近年、トイレ環境の改善が進んでいる。福岡市立学校の現状を取材すると、多様化する課題も見えてきた。(西日本新聞社)
■公立学校の「洋式」、住宅より割合低く
1950年代までほとんどの家庭が和式トイレだったが、59年に日本住宅公団が洋式を採用したのを機に、洋式が普及し始めた。総務省によると、住宅の洋式トイレ保有率は2008年時点で89・6%に達した。トイレメーカーのTOTO(北九州市)によると、24年度の和式の出荷率は全体の0・12%だった。
一方、文部科学省によると、20年時点で公立学校のトイレのうち洋式は約58%にとどまっていた。「公共施設に和式が一定程度ある中、教育上の観点から一部は和式を残す必要がある」「衛生面から便座に触れる洋式を望まない児童生徒もいる」と主張する学校もあるという。