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経済評論家 内橋克人を読む

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 阪神・淡路大震災を機にレントゲン写真で見るようにくっきりと浮かび上がった日本社会の「歪(ゆが)んだ骨格」がある。それはさまざまな認識の乖離(かいり)だ。被災者が求めるものと、国が必要とみなしたものとの間に生じた大きなギャップもその一つだ。

 国は個人補償はできない、と明言し続け、被災者を恩恵的な福祉の枠内に閉じ込めて処理し、生産基盤の回復を優先した。その結果、強いものから復興し、弱者が取り残された。強いものとは法人や上位の所得階層の人びとであり、弱者とはそれ以外の被災者個人だ。強者と弱者が混交して形成されているのが都市なのであり、放置すれば強いものから順に復興するのは自然の成り行きだ。だからこそ、「政治」が機能しなければならなかった。その政治が「機能不全」のまま、三年三カ月が空費され、被災弱者は極限まで追いつめられた。

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1998/4/23
 

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